【サンフレッチェ広島の開幕戦・予想布陣】3バックから4バックへ移行。目指すは「フォーメーションがよくわからない」サッカー

2021年02月26日 中野和也

MF東俊希が左SBに挑戦

サンフレッチェ広島の開幕戦、予想布陣。

[J1リーグ開幕節]広島-仙台/2月27日(土)/14:00/エディオンスタジアム広島

 4-2-3-1の新システムを機能させるためには、SBが攻守にわたって機能するかにかかっている。昨年までの3-4-2-1ならば守備の時には5バックになっていたわけで、今季は単純に考えれば1枚減。一方で守備を意識しすぎて後ろに重くなれば「新システム移行の意味はない」と千葉時代にサイドバックを経験した茶島雄介は言う。

 城福浩監督は新システム導入理由の1つに「BOX IN」という単語を使った。相手ペナルティーエリア内に、いかに侵入していくか。その頻度とクオリティを求める方便の1つが、新しい形によって前に人数をかけやすくすること。「BOX IN」を増やすことによって得点の確率をより向上させることが、昨年終盤のような「同じような展開の試合」(城福監督)での敗戦連鎖を断ち切ることにも繋がると考えた。

 確かに、単純に計算すると前線の人数は増えるわけだから、ペナルティエリア内に侵入する回数は多くなるはず。しかしそれだけで相手の守備が崩れると考えるほど、指揮官は甘くみてはいない。うしろから上がることでフリーになりやすいSBを前線といかに絡めるか。そこが大きなポイントとなる。ただ、指揮官はこのSBの動きに対して明確なルールを提示しているわけではない。

 たとえば茶島や東俊希、清水航平であれば、外だけでなく中にポジションをとり、時にはトップ下の位置に入って得点に絡む。佐々木翔ならば守備とのバランスを図りつつ、クロスで打開を狙う。野上結貴であれば、ボランチ的なポジションで組み立てに参加し、逆サイドのクロスに飛びこむ。
 
「大切なのは個の特長を発揮すること」と指揮官は言う。

「守備が崩れないようにすることは大前提だが、攻撃に入ると自由にやってもらっている。相手から見ると『フォーメーションがよくわからない』とか『右と左とでは違うのか』とか、そう思わせるチームになりたいですね」(城福監督)

 実際、トレーニングマッチでもSBの効果的な動きから得点や決定機が生まれている。一方で守備のバランスも考慮しているのか、攻撃的なSBを起用すれば逆サイドには守備の強いタレント(佐々木や野上など)を起用。あえて違うスタイルを左右で使い分けていることも特長的だ。

 左SBに挑戦している東俊希は「自分だけのオリジナルなSB像をつくりたい」と意気込み、右を務める野上は「新しいポジションに挑戦する楽しさと難しさはあるけれど、SBで出るのなら得点に多く絡みたい」と意欲を示した。

 昨年までの広島は、サイドが基軸だった。そして今季も、広島はサイドに注目したい。

文●中野和也(紫熊倶楽部)

【画像】J1全20チームの2021年シーズン予想フォーメーション
 
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