【柏】攻撃的スタイルの裏に7試合連続の失点。不安定な守備はなぜ修正できない?

2015年04月17日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「攻撃的なサッカーを掲げているとはいえ、失点をしていいわけではない」(大谷)

攻守が切り替わった際、誰がファーストDFになるかが曖昧だったことが、カウンターからの失点を招いてしまった。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 柏-鹿島戦の90+4分、中村充孝にダメ押しの3点目を決められた瞬間、パスミスを犯したエドゥアルドはピッチに膝を突き、天を仰いだ。同じく鈴木大輔、キム・チャンスもピッチに倒れ込み、しばらく動けない――。DF陣の精神的ダメージの大きさを象徴するシーンだった。

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 前半終了間際にセットプレーから失点した柏は、後半開始早々に追い付き、攻勢を強めた。だが、ボールを支配し、連動した動きを見せていた半面、鹿島がプレッシングからやや引き気味の戦術にシフトし、柏としては"持たされる"形になっていたのも事実だ。そして、69分、70分と立て続けにカウンターを受け、その1分後にカイオに決勝弾を決められている。
 
 このシチュエーションを招いたのは、攻撃陣が追加点を奪えず、みすみすカウンターの戦術を許してしまったのが一因だが、それ以上に、攻守が切り替わった際の意志疎通が上手くできていなかった点が大きい。
 
「カウンターのところで、相手の人数よりもウチの人数が足りてない場面が多かった。切り替えを早くしないといけないのもそうですけど、誰がファーストDFになるのかを早く決めないと苦しい展開になってしまう」
 
 ボランチの栗澤僚一はそう振り返る。
 
 今季の柏は、攻撃に人数をかけるサッカーゆえに、スペースが生まれてピンチを招くリスクと隣り合わせだ。それを恐れず、攻め切って帰陣する"攻撃第一優先スタイル"が相手の反撃を封じるファーストチョイスであり、吉田監督はこの日の攻撃の内容に関して「テンポや姿勢、選手が出そうとしたものにとても感動した」と評している。
 
 それでも「こういうサッカーをしている以上、カウンターの対処は大事になってくる」(栗澤)。ACL3節の山東魯能戦以降、7試合連続で失点、うち複数失点が4回を数える。キャプテンの大谷秀和は、「攻撃的なサッカーを掲げているとはいえ、失点をしていいわけではないし、いくら自分たちがゴールを奪えたとしても、失点していたら勝てない」とチームの現状に警鐘を鳴らす。

次ページ攻守のジレンマに揺れるなか、結果が求められる。

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