久保建英のスタメン落ちは「守備の強化」だけが理由ではない? “お家騒動”に巻き込まれた可能性をスペイン人記者が指摘【現地発】

2021年02月18日 ラディスラオ・ハビエル・モニーノ

「シュートを打たなければ、ゴールを奪うのは不可能だ」

ここにきて2試合連続でスタメン落ちとなった久保。(C)Getty Images

 前回のレポートで、タケ・クボ(久保建英)のスタメン落ちを正当化するためにフィジカル面に言及したホセ・ボルダラス監督の発言が良くない兆候として捉えることができると記したが、その懸念は現実のものになった。続くレアル・ソシエダ戦、タケはカルレス・アレニャとともに2戦続けてスタメンから外れた。

 ヘタフェはこの一戦を迎えるまで4試合白星から遠ざかっていたが、こうして結果が出ないと監督はえてして原点回帰に走る傾向がある。

 アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督はその代表格で、結果が出なくなると、システムを4-4-2に戻し、立て直しを図ってきた。この種の原点回帰は、慣れ親しんだ環境に戻ってくるように発展性がないことも多々あるが、シメオネの場合はそれで危機を回避してきたのも事実だ。

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 堅守で鳴らしたヘタフェはその面影がなくなっていた。守備の再建のために "オリジナル"なシステムに戻し、そこからタケとアレニャが弾き出されたというのが実状だろう。ホセ・ボルダラス監督は試合後、次のように説明している。

「冬に2人の選手が加入した。タケもアレニャもほぼその直後の試合からレギュラーを務めてきた。エルチェ戦のスタメンは、アレニャだけだったがね。その間、チームは多くの失点を喫していた。2人とも攻撃力に持ち味がある選手でクオリティも高いが、だからと言って彼らの責任ではない。しかし守備のレベルが下がっていた。3試合で10失点だ。守備のレベルを高める必要があった」

 いうまでもなく、ボルダラスは守備戦術を重視する監督だ。そんな彼にとっては今の状況は看破できないものなのは間違いないが、ただソシエダ戦で改めて明らかになったのは、守備面と同じく攻撃面でもヘタフェは深刻な問題を抱えていることだった。

 それは数字にも如実に表れている。24試合を消化した時点で17得点はラ・リーガのワースト、1試合当たりの平均シュート数8.4本、同枠内シュート数2.7本はいずれもワースト3だ。その意味で、中盤の要のマウロ・アランバリの発言は示唆的だった。

「パフォーマンスは良くなった。でもシュートを打たなければ、ゴールを奪うのは不可能だ」
 

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