世代交代にもがくバルサとマドリーに訪れる「判決の時」。CLの結果次第で“我慢の限界”に…【現地発】

2021年02月16日 エル・パイス紙

お互いを慰め合うという皮肉な現象

ともに過渡期を迎えているバルサ(上)とマドリー(下)。メッシとS・ラモスの両主将にも退団の可能性が。 (C) Getty Images

 バルセロナとレアル・マドリーの2強が揃って世代交代の真っ只中にある。

 それぞれ抱えている問題は根深く、早期に解決できる類のものではない。その悪戦苦闘する姿を見ていると、まるで下りのエスカレーターを必死で上っているようでもある。

 眼前に広がっている景色はその栄光に彩られた歴史と比べると、我慢ならないほどちっぽけな現実だ。取りこぼしの繰り返し、イレギュラーなパフォーマンス、憤りを隠せないロナルド・クーマンとジネディーヌ・ジダンの両監督、シーズン終了後に扉を閉めて出て行きそうなリオネル・メッシとセルヒオ・ラモスの両チームリーダー……。

 ただそれが返ってメディアに話題を提供し、格好のディベートの対象になっている。

【動画】メッシの我慢も限界? 信じがたい暴力行為でのレッドカードシーンはこちら
 両チームは何をしても話題になるが、大きく異なるのは同時にもがき苦しんでいる点。そしてそれがお互いを慰め合うという皮肉な現象を招いている。

 もっとも、腐っても鯛ともいう。実際、両チームとも、盛りを過ぎた紳士がボロボロの服を威厳を持って着こなすように、この難局を迎えても、反骨精神と競争心を示し、全てが真っ暗の闇に閉ざされたわけでないことをわれわれに訴え続けている。

 その意味で、今週、格好の試金石となるチャンピオンズ・リーグが再開する。現実が本当に我慢ならないものなのか、あるいは我慢するに値するものなのか、判決の時は迫っている。

文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳:下村正幸

【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。

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