「いまのヘタフェで輝くのは困難」久保建英を活かす“唯一の解決策”をスペイン人記者が提言!「平均でシュート1本、パス16本では…」【現地発】

2021年02月09日 ラディスラオ・ハビエル・モニーノ

タケは監督の求めるタスクを忠実に遂行している

チームの戦術的理由もあり、ここ3試合は低調な結果に終わっている久保。(C)Getty Images

 ラ・リーガ第22節でヘタフェはセビージャに敗れた。0―3というスコアもさることながら、内容的にも完敗で、チームとタケ・クボ(久保建英)の先行きに不安を抱かせるのに十分なものだった。

 もっとも兆候はすでにあった。実際、エルチェとのデビュー戦で鮮烈なインパクトを放って以降、試合を経るごとにタケのパフォーマンスは低下している。大きな足かせとなっているのが、ホセ・ボルダラス監督が取り組んでいる攻撃的なスタイルへの転換が不発に終わっていることで、そのチーム状況の中でタケも自らの持ち味を発揮できていない。

 セビージャ戦の立ち上がり、ボルダラス監督は過去4試合とは異なり左サイドにタケを配置した。しかしそれは一時的なものに過ぎず、10分が経過すると"定位置"の右サイドに移動。ただポジションを変えても守備に奔走するばかりで、攻撃面での貢献は希薄なままだった。

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 数字は正直だ。エルチェ戦(3-1)では25分ほどのプレータイムでタケはパス11本(成功率100%)、シュート1本(枠内1)を記録した。ちなみにこのパス本数は約60分間プレーしたセビージャ戦と同じ数字だ。

 初スタメンを飾った続くウエスカ戦(1-0)ではパス23本(同87%)、シュート3本(同2)とそれぞれ数字が上昇。しかしこれをピークにアスレティック・ビルバオ戦(1-5)ではパス19本(同74%)、シュート0本、アラベス戦(0-0)ではパス16本(同81%)、シュート1本(同0本)へと減少し、セビージャ戦に至っては前述したようにパス11本(同55%)、シュート0本と最低値をたたき出した。

 マジョルカ時代の数字と比べても状況は同様だ。ヘタフェではこれまで5試合に出場して1試合あたりのパス本数が16、同シュートは1本。それがマジョルカではシーズンを通じて1試合あたり20本のパスを記録し、同約2本のシュートを放っていた。

 タケが毎試合、ボルダラス監督の求めるタスクを忠実に遂行していることに議論の余地はない。しかし問題は、その結果、ゴールから遠ざかり、チャンスに絡む機会が減少していることだ。繰り返し自陣に戻ることで体力が消耗し、肝心の攻撃の場面でフレッシュさを失うという悪循環に陥っている。

 セビージャ戦でも象徴するような場面があった。ヘタフェがカウンターを発動させ、自陣深くからスプリントし関与しようとしたが、追いつくことができなかった。
 

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