すべてが“場当たり的”すぎるバルサの現状――世代交代の停滞、進まない本拠地の改修、そして延期となった会長選…【現地発】

2021年01月25日 エル・パイス紙

クーマン監督がリクエストしているエリック・ガルシアの獲得は?

メッシ(左)の解約更新はどうするのか。新会長が決まらず、バルサは後手後手に回っている。 (C) Getty Images

 カンプ・ノウの改修を含む大型再開発プロジェクト「エスパイ・バルサ」は、ソシオの承認を得てから実行に移すまで時間がかかり、本拠地は老朽化が目立ってきた。

 ラ・リーガでは前半戦で大きく出遅れ、巻き返しが困難な状況になっている。チームは2015年にトリプレーテ(3冠)を達成してからリスボン(昨シーズン、バイエルンに歴史的大敗を喫した地)で"賞味期限"を迎えるまで度々失態を犯した。

 さらに主力の高齢化と並行してサラリーが高騰。そのまま放置して、昨夏、アトレティコ・マドリーに譲り渡したルイス・スアレスがそうだったように、何人かの選手を直接のライバルにバーゲン価格で売りに出すしかなかった。その延長戦上で夏に続いてこの冬もロナルド・クーマン監督がリクエストしているエリック・ガルシア(マンチェスター・シティ)の獲得が見送られそうな情勢だ。

 そして極めつけは会長選だ。こうした状況下で、迅速に決断を下すトップの人間の存在がなおさら不可欠だが、いつ開催されるのかも不透明だ。

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 もそもの発端は前会長のジョゼップ・マリア・バルトメウが保身に走ったことだ。昨年10月にようやく辞任を表明したが、新体制が発足するまでクラブの運営を担当する代行委員会が可能な限り日程を引き延ばした末に、新型コロナウイルスの感染が再拡大。1月24日に予定されていた会長選は延期されることになった。バルトメウが適切なタイミングで辞任していれば、不信任投票を求める著名活動も回避され、とっくに新会長は選出されていたはずだ。

 バルトメウ前政権は昨年9月の段階で会長選を3月20日、21日に実施すると発表していたが、このままでは大して変わらない公算が大きくなってきた。そんな中、土壇場になって運営委員会は郵便による投票の実施を提案したが、それにはカタルーニャ州政府が法を改正することが前提となる。

 ベルリン(14-15シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝開催地)でトリプレーテを達成したスカッドを維持していれば、そのうちビッグイヤーを奪還できる――。すべての事象に共通するのは世代交代の停滞の元凶にもなったその場凌ぎの考え方だ。

 リオメル・メッシが他クラブとの交渉が解禁となってからすでに3週間が過ぎている。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたコラムを翻訳配信しています。

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