「SNSがなくて良かった…」強烈FKをブロックして複雑骨折。マンU戦で起きた“衝撃事件”を元レッズ戦士が語る

2021年01月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

渾身のパワフルショットが――

ピッチに倒れ込むスミスを気遣うリーセ。その表情が事態の重さを物語っている。 (C) Getty Images

 今シーズンのプレミアリーグの行方を占う大一番が近づいている。現地時間1月17日に開催される第19節のリバプール対マンチェスター・ユナイテッドだ。

 昨年11月7日から11試合負けなしで首位に浮上したユナイテッドを、昨年末からの3試合で2分け1敗と停滞している2位のリバプールが本拠地アンフィールドで迎え撃つ。現在3ポイント差にある両軍の首位攻防戦を前に、注目度は否応なし高まっている。

「ナショナルダービー」とも言われるライバル決戦は、これまで数々の激しいバトルが歴史を紡いできた。2006年のFAカップ5回戦で起きた元ノルウェー代表DFヨン・アルネ・リーセと元イングランド代表FWアラン・スミスのそれも多くの人に記憶されている。

 試合終了間際に敵陣でFKのチャンスを得たリバプール。この時にキッカーを務めたリーセは自慢のパワフルショットを披露しようと、助走を取ってから右足一閃。ここに身体を張って飛び込んできたスミスがシュートをブロックしたのだが、ボールの凄まじい勢いに体勢を崩されて着地に失敗。左足複雑骨折と左足首関節脱臼に加え、靱帯損傷という選手生命も脅かしかねない重傷を負ってしまうのだ。

 後に当時のマンチェスター・Uの指揮官アレックス・ファーガソンが「私が見た中で最も凄惨な怪我だった」と語ったほど、深刻な状態であった。
 
 このノースウェスト・ダービーでの記憶を当事者が振り返った。現地時間1月16日、リバプールの地元紙『Liverpool Echo』の取材でリーセは、「間違いなく僕にとっては最悪の記憶だ」と語った。

「ライバルかどうかは関係ない。あのプレーがあって彼の様子を見に行ったら足首がぶら下がっているように見えたのを覚えているよ。当然、やり切れない気持ちになったね。シャワーを浴びてからすぐに彼の入った病院に連絡した。本人から『無事だ』と聞いて安心した」

 当時は、リバプールが1点をリードしていたこともあり、リーセが「故意に狙ったのではないか」とメディアやファンから揶揄されることもあった。当然のことながら「ありえない。お互いに本気だったんだ」と否定した元ノルウェー代表DFは、「あの時にSNSがなくて良かったと今は思う」と告白している。

「ファンや一部のメディアは過剰に反応する。それを当時の僕が目にしていたらどうなっていたかは分からない。あの時代はとくに過激だったし、ソーシャルメディアがなくて良かったと思う。あれは本当に良くないよ。僕が言うのはあれだけど、起こったことは誰も責められない。僕はシュートを決めようと思っただけだし、彼は必死に止めようとしただけだった。結果として残念なものになったけどね」

 なお、このユナイテッド戦を勝ち抜けたリバプールは、決勝でPK戦の末にウェストハムを撃破して戴冠。スミスの大怪我で「しばらくは最悪の日々を送った」というリーセにとっては、複雑な瞬間だったかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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