プロ内定4名を擁しても…優勝候補・昌平はなぜ敗れたのか? タレント軍団を封じた山梨学院の戦略とは?【選手権】

2021年01月06日 松尾祐希

今大会最多のプロ内定者4名に加え、脇を固めるタレントも多士済々

エースの須藤(10番)が山梨学院の包囲網を突破にかかる。しかしゴールを奪うことはできなかった。写真:田中研治

[高校選手権準々決勝]昌平0-1山梨学院/1月5日(火)/フクアリ

 今大会最多のプロ内定者4人を持ってしても――。昌平は準々決勝で山梨学院に敗れ、昨年に続いてあと一歩のところで準決勝の舞台に辿り着けなかった。

 左サイドハーフに入るMF須藤直輝(3年)、ボランチのMF小川優介(3年)はともに鹿島アントラーズに入団が内定。FW小見洋太(3年)はアルビレックス新潟へ、中盤の汗かき役を担う柴圭汰(3年)も福島ユナイテッド入団が内定している。

 脇を固めるタレントも多士済々で、右サイドハーフの荒井悠汰は1年生ながらパワフルな突破でチャンスに絡み、トップ下の平原隆暉(2年)は気の効いた位置取りで攻撃に深みを与えた。攻撃力に秀でたサイドバックの本間温土(2年)、U-18代表候補の小澤亮太(3年)も含め、流動的なアタックで観る者を魅了したのは間違いない。

 しかし、この準々決勝はどうも勝手が違った。土壇場で2点差を追い付いた高川学園との1回戦も5バックで構築する堅守に苦戦したが、山梨学院は単純にブロックを作るだけの相手ではなかったからだ。

 まず、初戦と違ったのは守備のスタイル。4−4−2の布陣でブロックを作りつつ、高い位置からハイプレスを掛けてきた。二度追い、三度追いは当たり前。しかも、前線のふたりが豊富な運動量でアタックするだけではない。パスコースを限定し、中盤の選手もその後に続く。その頭脳的な守備に対応できず、昌平はボールの出し所を見失った。山梨学院の長谷川監督は言う。

「ボールホルダーに対して、まず縦パスを出させないことが大事。(プレスを掛けて)守備をしながら、須藤選手や荒井選手がハーフスペースに落ちてくるところを背中で上手く消しながら守れていた」

 もちろん、それだけでは抑えるのは難しく、小見の裏抜けへの対応も必要になる。指揮官はそこも計算し、背後を突かれた時の対応策も選手たちに伝えていた。

「2列目だけをケアしていると、小見選手がオフ・ザ・ボールの動きで裏を取ってくる。(パスの出し所になる)柴選手、小川選手がボールを持った時のケアをしながら、CBで上手く守ろうとしたんです」

 山梨学院の緻密な守備に対し、須藤も「自分のところにボールが入る回数が少なかった」と前半の内容に首を傾げた。

【準々決勝PHOTO】昌平の怒涛の反撃を防ぎきり山梨学院が接戦を制す!

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