[天皇杯 決勝]川崎１-０G大阪／１月１日／国立競技場　

　今季限りで現役を引退する中村憲剛が、"ラストマッチ"を迎えた。舞台は国立競技場で行なわれた天皇杯の決勝。ベンチスタートとなった中村には残念ながら出場機会は訪れず。それでもレジェンドは満足そうな表情でクラブ初の天皇杯制覇の瞬間を喜んだ。

　以前から、スパイクを脱ぐ実感が湧かないと話していた男は、最後の瞬間を迎えどんな心境となったのか。試合後には自信の胸の内を確認するように、少し考えこみながら言葉を紡いだ。

「ホッとしました。２冠（リーグと天皇杯）獲れたことは、クラブの悲願でもありました。個人的な感情は抜きにする戦いだったし、最後はみんなでリードを守ってくれと思っていました。１-０で終わった時は、本当にホッとしました。みんなが駆け寄ってくれて、泣く気はなかったんですが、みんながボロボロ泣くからもらってしまって。心から嬉しかった。こんな幸せなサッカー選手はいないと思います。みんなに感謝です」
 

　そして今後への意気込みも語る。

「寂しさも感じると思いますが、自分は自分でまた新しい道が拓けていく。18年全力でやってきたように、次のステージも全力で頑張りたいです」

　さらに後輩たちへ自らの想いも託した。

「サッカー選手はサッカーだけではないし、サッカー以外にも価値を見出さないといけない。それを自分が楽しんでやっていただけですけど、それを見て後輩も継いでくれた。それは先輩たちが残したものを僕が引き継いで、それを楽しくやっただけです。それを見た後輩たちが、それぞれの形で川崎に貢献してくれたと思います」

　レジェンドの今後、そして中村の背中を見てきた選手たちの歩みにも注目だ。

構成●サッカーダイジェスト編集部