6得点で6大会ぶりの初戦突破!京都橘のエース・西野太陽が抱く大いなる野望!【選手権】

2020年12月31日 松尾祐希

「得点王争いを2人でしたい」

後半に2発の固め打ちで勝負を決めた京都橘の西野。写真:浦正弘

[高校選手権1回戦]京都橘6-0松本国際/12月31日(木)/NACK

 京都橘は、CK、ロングスロー、アーリークロス、裏抜け、ミドルシュート。様々なパターンから6得点を挙げ、圧巻のゴールラッシュで周囲の度肝を抜いた。

 ここ数年、同校にとって選手権の初戦は鬼門だった。最後に勝利を挙げたのはベスト8に進出した2014年。東山が出場した18年以外は毎年のように冬の檜舞台に挑んだものの、一度も白星を挙げられずにいた。

「初戦にずっと勝てていなかったので、自分も選手もアレルギーにならないように準備をしてきた。以前の大会では2回戦のことを考えたり、目の前の試合のだけのことを考えたり。色んなことをしたけど勝てなかった。過去の経験も踏まえ、今年は1戦目だけに標準を合わせて、初出場のつもりで挑んだ」(米澤一成監督)

 負の歴史に終止符を打つ――。誰もが強い気持ちで挑んだ松本国際(長野)戦で快勝し、京都勢としても6大会ぶりの勝利をつかんだ。

 まさに会心のゲーム。その初戦を語る上で欠かせないのが、来季から徳島ヴォルティスに入団するFW西野太陽(3年)とすでにJクラブが熱視線を送っているFW木原励(2年)だ。

 ともに速さと強さを併せ持つ点取り屋。独力でゴールを陥れるだけではなく、懐の深いポストプレーなどで周りを使う術にも長ける。そんな2人がコンビを組めば、まさに鬼に金棒。チームメイトは絶大な信頼を寄せており、キャプテンの中野晃弥(3年)も「前に預ければなんとかなる。タメも作れるし、チームに欠かせない」と話すほどだ。

 松本国際戦でも1+1が3になるほどの破壊力で、相手DFに付け入る隙を与えなかった。

 まず、最初に魅せたのは木原。前半35分にMF中川樹(3年)のアーリークロスに反応すると、狡猾な動きと抜群の跳躍力で鮮やかなヘディングシュートを決めた。

 木原に触発された西野も果敢にゴールを狙うと、後半14分に絶好機が訪れる。木原からパスを受けたキャプテン・MF中野が相手DFの背後のボールを出す。これには反応した西野はGKとの1対1を冷静に制し、ネットを揺らした。これで勢いの乗った西野は直後の18分にも高い位置でボールを奪い、左足で豪快に蹴り込む。

 以降も2人は前線で受けると、コンビネーションプレーと個人技で局面を打開。相手を背負った状態でも前を向き、貪欲に仕掛けていく。後半29分にはDF金沢一矢(3年)のロングスローをDF山内琳太郎(3年)が反らすと、ファーサイドの木原が押し込んだ。

 
 2人揃っての2得点。

 松本国際のキャプテン・柳平強(3年)も「映像を見て相手の分析をしていたけど、予想を上回る部分があって厳しかった」とその実力を認める。

 そんな強烈な個性を持つ京都橘の両雄が今大会屈指のユニットであるのは間違いない。その関係性に西野も手応えを得ている。

「スペースができてくるのでコンビネーションで崩せると感じ、(木原)励が少し落ち気味にポジションを取って僕が裏に抜けるというのは2人で話していた。僕もあいつの動きはあんまり見ていないけど、スペースに感覚で流しても励が走ってくれているので意思疎通はできている」

 次の相手は優勝候補の昌平。初戦の活躍でこれまで以上にマークが厳しくなるが、簡単に引き下がるつもりはない。「励と競い合っているし、得点王争いを2人でしたい」とは西野の言葉。最強ユニットから2回戦も目が離せない。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

【選手権PHOTO】堀北・ガッキー・広瀬姉妹! 初代から最新・本田望結まで「歴代応援マネージャー」を一挙公開!
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事