「クロップと長くやればよかった…」香川真司とともに輝いたゲッツェがバイエルンへの“禁断の移籍”を回想

2020年12月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

ドルトムント・ファンから「裏切り者」と批判された逸材MF

クロップに才能を見出されてプロキャリアをスタートさせたゲッツェ。彼にとってバイエルンへの“禁断の移籍”はどのような意味を持つのだろうか。 (C) Getty Images

 2000年代後半からブンデスリーガの覇権を争っているバイエルン・ミュンヘンとドルトムント。今やナショナルダービーと言われる対戦は、ドイツでも屈指の注目度を誇っている。

 そんな両雄の関係性にあってドルトムントから"絶対王者"のバイエルンへ移籍する選手は少なくない。元ドイツ代表MFのマリオ・ゲッツェもその一人だ。

 ドルトムントの下部組織出身だったゲッツェは、ユルゲン・クロップ(現リバプール監督)に、類まれな才能を見出されて2009年にトップチームデビュー。瞬く間に主力へと成長して日本代表MFの香川真司らとともに、ブンデスリーガ連覇(2010-11、11-12)も経験した。

 クロップの秘蔵っ子として注目を集めていたゲッツェは、2013年の夏に一大決心を下す。宿敵バイエルンへの"禁断の移籍"を果たすのだ。当時21歳だった逸材の決断には「裏切り者」や「カネに目がくらんだ」といったドルトムント・ファンからの批判が殺到。小さくない物議を醸した。

 ゲッツェは何を思ってバイエルンへ移籍したのか――。現地時間12月28日にオランダ紙『Algemeen Dagblad』のインタビューで「僕は新しいチャレンジがしたかった。それだけなんだ」と当時の心境を明かした。

「これまでとは違うことがやりたかったんだ。バイエルンの監督だったグアルディオラの哲学を知りたかったんだよ。バイエルンではチャンピオンズ・リーグの準決勝に3度進んだし、監督はそれまでとは全く異なるポジションからフットボールを見ることを教えてくれた」
 
 名将ジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)のもとで、フットボーラーとしての成長を望んだゲッツェだったが、バイエルンでのキャリアは相次ぐ故障も重なってわずか3年で終了する。そして、不振に陥っていた彼が選んだのは、ドルトムントへの復帰だった。

 ゲッツェは、ドルトムントからバイエルン、そしてドルトムントと渡り歩いた激動の時期を、こう振り返っている。

「僕が21歳の時にバイエルンへと移籍したことで大衆の間で多くの議論や非難の嵐が巻き起こったことは知っている。今にして思えば、もっと長くクロップのもとに残るべきだったかなとも考える。彼は僕の人生においても重要な人だったからね。だけど、バイエルンに行ったことも間違いではなかった。これはハッキリと言えるよ」

 ドルトムントとの契約満了を迎えた今夏にオランダの強豪PSVに加入したゲッツェ。アヤックスとエールディビジ優勝争いを演じるチームで、8試合に出場して4ゴール・3アシストとかつての輝きを取り戻しつつある28歳は、まだまだファンを楽しませてくれそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

次ページ【動画】香川真司とともに異彩を放ったゲッツェのスーパーゴール集はこちら

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事