サガン鳥栖U-15&18が快進撃! アヤックスの育成メソッドで強化促進、トップへの人材輩出も続々

2020年12月29日 安藤隆人

プレー原則やプレーモデルを明確にして、育成組織の柱に

29日に準決勝を戦うサガン鳥栖U-18。U-15に続く優勝を掴めるか。写真:安藤隆人

 現在、群馬県で開催されている第44回日本クラブユース選手権。ベスト4が出揃い、FC東京U-18vs大宮アルディージャU18、サガン鳥栖U-18vs鹿島アントラーズユースの4チームが勝ち上がった。

 Jクラブの下部組織としてトップチームのサッカーを踏襲するクラブが多くあるなかで、サガン鳥栖U-18に注目をして見てみると、トップとU-18の一貫性を垣間見ることが出来る。
「プレー原則、プレーモデルを育成期間も含めてクラブ全体で共有しており、そこから外さないようにやること。もうひとつはクラブとして『タレント』と言われる選手をいかにトップチームに輩出し、上げるだけでなく、トップチームに入った時にいち早く順応できるように明輝とはよく話をしますし、スタッフ内で話し合っています」

 こう語るのはU-18を率いる田中智宗監督だ。トップチームの金明輝監督とは長年、鳥栖の育成機関の指導者として苦楽を共にしてきた。

 田中監督は2016年からU-15の監督となり、翌2017年に日本クラブユース選手権と高円宮杯JFA全日本U-15選手権の二冠を達成。2019年にはU-18のコーチとなったが、この年の5月にU-18を率いていた金監督がトップチームを指揮することになり、U-18を引き継ぐ形となった。

「コミュニケーションは綿密に取れています」と田中監督が語ったように、2人の間柄はもちろんのことだが、クラブは2018年1月にオランダの名門・アヤックスと提携し、育成メソッドを共有。プレー原則やプレーモデルを明確にして、育成組織の柱とした。

「アヤックスのスタイルを取り入れる前から、それと考え方が似ているスタンスが僕らにはありました。それをプレー原則、プレーモデルと具体的に言語化することで、より深いミーティングや実践ができ、より育成クラブとして成長できていると思います」

 もちろん大枠だけではない。そこに「他のチームより走り、球際の厳しさなどハードワークが当たり前のことになっています」(田中監督)と、チームの勝利のために全力を尽くすメンタリティはベースとして崩さない。だからこそ、FW石井快征、MF松岡大起、本田風智、DF大畑歩夢らU-18上がりのルーキー、2年目の選手がトップチームのサッカーにフィットして躍動を見せている。

 今の高校3年生はU-15時代に田中監督と共に二冠を達成し、金監督にも高1の時に指導を受けた。さらにMF相良竜之介はJ1で4試合に出場して初ゴールもマーク、高2のDF中野伸哉はすでに14試合に出場し、終盤戦にはレギュラーを獲得している。
 

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