「ステップアップの時を迎えている」――リバプールの地元紙番記者は南野拓実の“激動の12か月”をどう見た?【現地発】

2020年12月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

ファン・ダイクも「殻を破った」と絶賛

クリスタル・パレス戦でようやくプレミア初ゴールを決めた南野の前半戦を地元紙の番記者が振り返った。 (C) Getty Images

 南野拓実にとって激動ともいえたリバプールでの12か月は、素晴らしいゴールで始まり、トップクラスのフィニッシュで終わった。ただ、彼にとって厳しい時だったのは間違いない。

 昨年12月に契約を締結してレッドブル・ザルツブルクからやってきた南野への期待は、当初から小さくはなかった。だが、この日本代表FWは、世界王者となったチーム内での競争、そしてプレミアリーグの水に慣れるのに一定期間を要しただけでなく、今年3月に世界的に広まった新型コロナウィルスの影響で起きたパンデミックにより苦しい生活を余儀なくされた。

 無論、サッカーはもちろんのこと、社会全体が完全に止まる前代未聞の事態は誰にとっても困難な状況だった。ゆえにイングランドに到着してまもない25歳の青年にとっても、容易ではない状況だったことは想像に難くない。

 しかし、ロックダウンは、南野に新しいチームメイトをより深く理解するための時間を与えてくれた。ズームを通じたオンラインでのワークアウトセッションから少しずつ周囲に打ち解けた彼はメルウッドの練習場に戻っても、問題なく実戦へ備えられた。

 そして、6月下旬にシーズン再開してから南野は好調を維持。とりわけ3トップの左ウイングでプレーした際には好パフォーマンスを見せてもいた。
 
 そして迎えた2シーズン目。南野は好スタートを切った。プレミア開幕に先駆けて"聖地"ウェンブリーで行なわれたコミュニティーシールドのアーセナル戦では途中出場ながらリバプールの一員として初ゴールとなる値千金の同点弾を奪い取った。惜しくもチームはPK戦で敗れたものの、4人目のキッカーを務めた彼はいとも簡単に成功させ、そのクレバーさを披露した。

 チームメイトの評価も上々だった。副主将であり、ディフェンスリーダーでもあるフィルジル・ファン・ダイクは、南野をこう評価した。

「タキ(南野の愛称)は好調をずっと維持している。ロックダウン後は、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)で僕らが対戦したザルツブルクにいた頃の、あのタキが復活しているよ。エネルギッシュだし、本当に素晴らしい選手だ。ついに殻を破ったんだ。彼自身、そしてチームにとっても嬉しいことだ」

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