1億円でも“神の手”ユニホームは売らない! 元英代表MFがマラドーナとの思い出を告白「仲間にも怒られた…」

2020年12月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

「今後も売るつもりはない」

サッカー史に残り続ける伝説の「神の手ゴール」の思い出を元イングランド代表MFが振り返った。 (C) Albert LINGRIA

 先月25日に急逝したディエゴ・マラドーナ。アルゼンチンが生んだ唯一無二のレジェンドのあまりに早すぎる死は、世界に衝撃を与えた。

 このアルゼンチンの天才を語るうえで欠かせないのが、1986年メキシコ・ワールドカップの準々決勝のイングランド戦だろう。51分に本人の言う「神の手」で同点弾を奪うと、その4分後には相手守護神も抜き去る鮮やかな5人抜きゴールで、自身の存在価値を永遠のものへと高めたのだ。

 この歴史的一戦で使用された貴重な品を持つ男がいる。当時、イングランド代表としてスタメン入りし、奇しくも神の手ゴールの起点となるバックパスの"送り主"でもあったスティーブ・ホッジだ。

 真夏のアステカでの熱戦の直後、マラドーナとユニホームを交換していたのだ。現在、マンチェスターにある国立サッカー博物館に当時のユニホームを預けてあるというホッジは、英公共放送『BBC』のインタビューで、貴重なアイテムへの想いを明かした。

「今は博物館に預けているけれど、自分は34年間もあのユニホームを保持している。何よりも気に入っているんだ。お金に代えられない価値がある。気持ちの問題さ。あのユニホームには捨ててはいけないほどの信じられない価値があると思うんだ」

 マラドーナを「並外れた天才だった」と認めた58歳の元イングランド代表MFは、ユニホームを貰った当時の興味深いエピソードも語っている。
 
「あんな試合の後に交換したからね。当時の僕はかなりの批判を浴びたし、チームメイトからも怒られたよ。でも、あの試合はサッカーの歴史に残る伝説になるだろうし、僕自身は神の手を批判したことはない。ユニホームを貰ったことに後悔はないね」

"英雄"マラドーナの汗が染み込んだシャツだ。それだけに彼の死後、ホッジのもとにはコレクターから転売を持ちかけられる電話が殺到したという。だが、専門家の間では、日本円にして1億円の価値があるとも言われている貴重なアイテムを頑なに手放さなかったホッジは、売却を求める人々の反応に愕然としたという。

「ショックさ。今もひっきりなしに問い合わせが来るし、ありとあらゆるテレビ局やラジオ局、さらには海外の放送局からの電話も鳴りやまないよ。ただ、そういう中で、私があれを数百万ポンドで売ろうとしているというネット記事も読んだし、批判の声も聞いている。全くもって失礼な話だし、完全なデマだよ。私はユニホームを売りに出していないし、今後も売るつもりもない」

 あの試合のマラドーナについて「神の手はルール違反だが、サッカーをやっている人間ならたまに狙うプレーだと分かっている。それに僕らも彼を至る所で蹴っていた」とも語ったホッジは、この先もユニホームを手放す気はなさそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

次ページ【動画】世界が騒然とした「神の手」ゴールはこちらでチェック

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事