本田圭佑のポルトガル移籍にメリットはあるのか――。ブラジル人記者の見解は?「最悪のボタフォゴより環境は…」【現地発】

2020年12月27日 リカルド・セティオン

17年に代理人がクラブを買収

そのパフォーマンスに厳しい声が寄せられている本田。 (C) Getty Images

 ボタフォゴの本田圭佑に、ポルトガルのポルティモネンセが興味を示している。

  しかし、どうもこのオファーは不可解だ。普通に考えれば、この移籍が成立しても両者になんの得があるのかわからないからだ。

 たしかに今のボタフォゴはクラブ史上最低の状態だ。監督は次々変わり、順位は降格圏、サポーターはそんなチームに怒っている。しかしポルティモネンセがそれよりも良い状況にあるとは、お世辞にも言えない。

 ポルティモネンセは現在ポルトガル・リーグの最下位だ。それどころか、本来ならば1部に属してもいなかったチームだ(他のチームがライセンス料を払えず失格となったため残留できた)。

 ボタフォゴも最下位近くをうろついてはいるが、腐っても世界に知られた名門だ。多くのレジェンドも輩出している。またポルティモネンセのあるポルティマオの町は人口5万人程度、大都市リオとはまるで違う。ホームの市民スタジアムは6000人しか入らないが、ボタフォゴにいればアメリカ大陸最大のスタジアム、マラカナンでプレーすることもできる。
 
 そもそもこのポルティモネンセというチーム自体が曲者だ。2017年に小さいが伝統のあるこのチームを買ったテオドロ・フォンセカはブラジル人、会長のロディネイ・サンパイオもブラジル人。そしてトップチームの実に27人中16人がブラジル人だ。ポルトガル人選手はたったの5人しかいない。

 ブラジルと旧宗主国のポルトガルの間には特別な協定があり、EUパスポートがなくても、ブラジルの選手は何人でもポルトガルのチームに在籍できる。そしてここでしばらくプレーすれば、他のEUのチームにも移籍しやすくなる。

 ブラジルのU-23代表に一番多くの選手を送り込んでいるのは、実はポルティモネンセだ。もともとテオドロ・フォンセカは代理人だ。選手の違法な移籍で脱税をして起訴されているジュアン・フィゲルの右腕でもあった。彼が何を目的にポルティモネンセを買ったかは定かではないが、とにかく地元の人々はブラジル人の代理人に乗っ取られたチームの現状を嘆き、反発している。

 つまり本田にとっては環境が良くなるどころか、悪くなるだけである。

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