「ホンダは数に入れられない」低調な本田圭佑にブラジルのレジェンドが苦言。擁護してきたサポーターにも変化が…【現地発】

2020年12月24日 リカルド・セティオン

「ホンダはまるで日本人のようなプレーをしている!」

そのパフォーマンスに厳しい声が寄せられている本田。 (C) Getty Images

 かつてブラジルでは、ひどいプレーをする奴がいるとこう言ってからかったものだ。

「おい、日本人みたいなプレーをするな!」

 日本人は目が細くて、周りが見えていないからいいプレーができない、という意味だった。いま考えると、失礼極まりない話だ。もちろん、最近ではこのフレーズはすっかり使われなくなった。日本代表などの活躍から、日本人が優秀であることを誰もが知っているからだ。

 しかし、19日の試合で久しぶりにそのフレーズを聞いた。クリチーバ戦で、ボタフォゴは久々に白星を挙げたが、本田はその勝利には全く貢献していなかった。それどころかがっかりさせられるパフォーマンスだった。やることと言えば、2メートル横の選手にパスをするだけ。時より前方にボールを出すと、相手にカットされる。思わずラジオの実況はこう言った。

「ホンダはまるで日本人のようなプレーをしている!」

 彼よりひどかったのは、もう一人の"助っ人"サロモン・カルーだけだった。あるメディアが本田につけた採点は「3.5点」、カルーは「3点」。本田は最低点ではなかったことをカルーに感謝しなければならないだろう。

 70年のメキシコ・ワールドカップでペレとともに世界制覇に貢献したブラジルのレジェンドの一人で、ボタフォゴのOBでもあるジェルソンはこう非難した。

「本田とカルーは選手の数には入れられない」

 ボタフォゴは9人で戦っていたようなもの、という辛辣な言葉だった。
 
 このクリチーバ戦、本田は65分に左太ももの筋肉を痛めて交代。1か月の離脱と診断された。

 しかし、ボタフォゴのサポーターは言う。この試合のベストニュースは、勝利したことではなくこの本田の離脱であると。少なくとも1か月は彼の代わりに他の選手がプレーしてくれる……。

 これまで本田に期待し、擁護してきたサポーターもついに愛想をつかしたようだ。チームリーダーの責任も果たさない、ベテランとしての経験も生かさない、おまけに身体もガタが来ている。それなら他の選手のプレーを邪魔しないように、スタンドにでもいてくれ、と。すっかりリスペクトを失ってしまったようだ。

 ボタフォゴは、最下位は脱出したもの、依然として降格圏におり、コンピューターの試算では90%の確率で2部降格が免れないと出ている。

 本田とボタフォゴの蜜月の終焉が近づいているようだ。
 
文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。

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