久保建英は本当に“冷遇”されているのか? チーム唯一の「全試合出場」から透けて見えるエメリ監督の思惑

2020年12月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

「クボはまだ成長過程ある」と…

ここまでチームで唯一全試合に出場している久保。(C) Getty Images

 久保建英がビジャレアルへのレンタルを打ち切り、冬の移籍市場で新天地を求める可能性があるというニュースは、現地スペインでもしきりに報じられている。

 その要因となっているのが「出場機会」だ。保有元であるレアル・マドリー寄りのメディアによれば、武者修行による久保の成長に期待しているマドリーが、満足なプレータイムが与えられていないことに不満を持っているというのだ。なかには、「ウナイ・エメリ監督が不当に久保を冷遇している」と糾弾するメディアもある。

 だが、果たしかそうか。現地時間12月16日に開催された、2部B(実質3部)のレイオラとのコパ・デル・レイの1回戦(6-0)でも、久保は69分から途中出場を果たした。

 これで、日本代表MFはラ・リーガ13試合(うち先発2)、ヨーロッパリーグ(EL)5試合(同5)、そしてコパ・デル・レイ1試合と今シーズンの公式戦全19試合に出場していることになる。

 これはビジャレアルでは久保だけだ。MFのビセンテ・イボーラも全試合出場を続けてきたが、13日のベティス戦で左膝の前十字靭帯断裂大怪我を負い、今シーズン中の復帰は絶望的と見られている。

【動画】久保建英が披露した"芸術的な足裏パス"はこちら
 たしかにリーガでのスタメンは少ないが、エメリ監督は必ず久保をどこかで起用してきた。

「クボはまだ成長過程ある。学ぶべきことも少なくない。ビジャレアルがリーガやELで上位に食い込むためには、クボの成長が必要だ。いまはその途中なんだ」

 久保の起用に関する質問を受けるたびに、指揮官はそう繰り返してきた。その言葉と試合での起用法には差異はないように見える。もちろん、戦術的な意味合いもあるが、「少しずつでも経験を積ませれば、必ず成長してくれる」――。そんな思惑が透けて見える。

 19歳でこれだけ試合で起用されている選手は、リーガでも決して多くはない。しかも、プレーしているのはマジョルカではなく、毎年のように上位をキープしているビジャレアルだ。

 ただ、チャンスが与えられているうちに結果を残せないようだと、先発の機会を勝ち取れないだろう。リーガでは今シーズン2度目のスタメンを飾ったベティス戦では、不運な形で早期交代となってしまった。

 現地時間、19日に行なわれるオサスナ戦でアピールできるか。指揮官の期待に応える活躍に期待したい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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