「彼のことをクソッタレと…」“破天荒男”ベントナーが名将ヴェンゲルに講じた退団交渉の策とは?

2020年12月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

愛弟子の“企み”にヴェンゲルは?

何かと話題にこと欠かないベントナーが、師弟関係にあったヴェンゲルとの秘蔵エピソードを明かした。 (C) Getty Images

 サッカー界屈指の"破天荒男"は、名将と対峙してもブレることはなかったようだ。

 その興味深いエピソードを披露したのは、元デンマーク代表FWのニクラス・ベントナー。かつてアーセナルやユベントスなどを渡り歩いた実績を持つストライカーである。

 ベントナーの仰天エピソードはこれまでも数多く披露されてきた。カジノで一夜にして10万ポンド(約1400万円)を失った話や週5でナイトクラブに通い詰めた話など、どれも驚くべきものばかりである。

 そんなデンマークの"悪童"は、英誌『Four Four Two』のインタビューで、再び世間を賑わせた。この度、彼が披露したのは、アーセナルに在籍していた2013年の夏の話だ。

 当時、アーセナルで出場機会を得られずに新天地を模索していたベントナーは、同じロンドンのプレミアリーグクラブであるクリスタル・パレスからのオファーを受け、指揮官のアーセン・ヴェンゲルに退団を直談判したという。

「俺はアーセナルを出ていきたいと思っていた。そこにクリスタル・パレスから凄いオファーが舞い込んだんだ。それで俺はヴェンゲルに出ていかせてくれと頼んだ。だけど、一週間後に彼が、『すまないが、君は退団できない』と電話で言ってきたんだ。物凄いショックだった」
 
 アーセナルが代役となる選手を見つけられなかったことが理由で、残留を強いられたベントナー。それでもクリスタル・パレスからの"凄いオファー"を諦めきれなかった彼は、驚きの策に打って出るのだ。

「俺はどうしても出ていきたかったから、彼に電話を掛け直して言ったんだ。『おい、このゴミクズ!』とか『クソッタレ!』とかって猛烈にキレたんだ。今思えば、ひどいざまだよね(笑)。でも、俺のことを売却させるためになんとかしようと思ったんだ」

 チームの全権を握っていたヴェンゲルを罵り、退団へと方針を転換させようとしたベントナー。しかし、「もちろんうまくはいかなかった」と正直に話した彼は、こう続けた。

「俺たちは互いにリスペクトしていたし、非常にいい関係にあった。正直だったと言えるかもしれない。彼からは『お前は最高のクラブに残留したんだ』と説明されたよ。俺たちがヒートアップしたのはその時だけだ。それ以外はいつも彼が俺を叱咤していたからね」

 愛弟子の"企み"にも乗らず、クレバーに対処したヴェンゲル。幾多の名手たちを手塩にかけてきた名伯楽と呼ばれる所以は、そうした振る舞いにあるのかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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