思いがけない驚きに悔しさも…興國高からマリノスへ4人目内定を掴んだ快足アタッカーの向上心

2020年12月11日 安藤隆人

すでにJクラブへ4人が内定。「練習に参加させてもらった立場として焦りしかなかった」

興國高から4人目の内定選手となった南。スピードと運動量が武器のアタッカーだ。写真:安藤隆人

 12月3日、興國高から今年5人目のJリーガーが誕生した。右サイドハーフからサイドバックまでこなす快足アタッカー・南拓都の横浜F・マリノス入りが内定。MF樺山諒乃介、DF平井駿助、GK田川知樹に続き、同じ高校から同じJクラブへ4人の内定者が誕生するという、異例とも言える発表であった。

「3人と(杉浦)力斗(ツエーゲン金沢内定)も含めて4人が早い段階(横浜内定の3人は2月、杉浦は5月)で決まったので、自分もJクラブの練習に参加させてもらった立場として焦りしかなかったです」

 南は昨年の段階でJ2の2つのクラブの練習に参加をしていたが、なかなか正式オファーが来なかった。それでも「自分に声がかからない現実を見て、自分の長所であるスピードと運動量に頼り過ぎているなと思ったし、(内定が決まった)4人のようにもっと『止めて、蹴る』などの基礎技術を磨いて、足下でボールを受けても打開出来るような選手にならないとプロになれないと思った」と、自分の明確な課題を発見したことで、右肩上がりの成長曲線が描かれていった。

「スピードと運動量を持ってサイドで激しい上下動ができるし、ビルドアップに加わったり、個で打開できたり、やれることは確実に増えた。だからこそ、今年の途中からウイング、サイドハーフだけでなくサイドバックとしても起用して、よりスケールが大きくなった」

 内野智章監督がこう目を細めたように、日に日にサイドプレーヤーとして逞しくなっていく彼を横浜は見逃さなかった。

「10月にマリノス の練習に2日間参加することになったのですが、その時は僕の中で大学進学を決めていたので、経験を積みにいく上でも貴重な機会だなと思って参加しました」と言う南は、「さすがに4人目(の獲得)はないだろう」といい意味で開き直った状態で練習に参加。2日間を終えて学校に戻り、翌日に内野監督に報告に行くと、そこで横浜から正式オファーが来たことを耳にした。

「もう驚き過ぎて、頭の中が真っ白になりました」
 

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