「鹿島に何から何まで…」浦和、山中亮輔の言葉で浮き彫りとなった完封負けより由々しき状況とは

2020年12月04日 佐藤亮太

鹿島相手に4失点の完敗。「中でやっていても、気持ちを出す選手がいない…」

鹿島戦で大敗後、サポーターへ挨拶を行う浦和の選手たち。(C) SOCCER DIGEST

 寒空に溜息しか出ない敗戦だった。

【動画】衝撃の4失点…浦和、敵地で鹿島に完敗

 30節、アウェー鹿島に臨んだ浦和は11分に先制され、50分に2失点目。前に出ざるを得なくなった浦和は64分、82分にも失点し、0-4の完封負けを喫した。

 6節・柏、9節・名古屋、27節・横浜戦に続く今季4度目となる4点差負けだ。

 敗因のひとつを挙げるなら来季のACL出場を現実的に狙える鹿島に対し、浦和はそれがほぼ消滅した状況。先月25日に発表された大槻毅監督の退任は結果、カンフル剤にはならず、モチベーションの差が内容とスコアに出てしまった。

「鹿島に上回られてしまった。一つひとつ、何から何まで負けていた」
 試合後の会見で浦和DF山中亮輔は完敗を認めた。

 一方、山中が「チャンスはあった。そのなかのひとつが入ったら違う結果になった」と話す通り、前半終了間際、MFマルティノスが決定機を作ったが、総じて攻守に精彩を欠いた印象だ。

 ただ完封負けより由々しき状況が、山中の言葉で浮き彫りとなった。

「大量失点したなか跳ね返す力というか……、中でやっていても気持ちを出す選手があまりいない。その点が一番、もったいない」

 この言葉に思い出すことがある。

 昨年3月中旬。浦和はオズワルド・オリヴェイラ監督のもと、リーグとACLグループステージを戦っていた。3月の公式戦6試合の戦績は、3勝1分2敗とまずまずだが攻撃面が大きな課題だった。加入したばかりの山中は、柏、千葉、横浜と渡り歩いた経験のなか、チームにある違和感を覚えていた。

「このチームの選手は監督やコーチに誰も何も言わないし、選手同士、話し合おうともしない。大丈夫かなと思う」

 批判ではなく、純粋な疑問だったのだろう。前者はピッチ内。後者はピッチ外のことだが根っこは同じ。問題はチームをまとめる、あるいはまとまろうという選手がいるのかどうかだ。

 たしかに今季、試合を見てもGK西川周作やDF槙野智章を中心に声を出し、鼓舞し、指示を出す光景は見受けられる。また19節・横浜FCからFC東京、名古屋と3連敗した際、主将・西川の音頭で選手ミーティングを開き、年齢、キャリアに関係なく忌憚のない意見が出たそうだ。これが功を奏し6戦負けなしとなったが、その後、前節までの4試合は1分3敗となった。

 良いときは自然と良い。黙ってでも勢いづく。しかし悪いとき、チームはいかに留まり、這い上がるか。ここにチーム力が試される。
 

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