【セルジオ越後】川崎が史上最速V。今季のMVPにふさわしいのは三笘?谷口?それとも…

2020年11月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

コロナ禍の特殊なシーズン。うまく状況に適応して日替わりのヒーローが出てきた川崎

4試合を残して史上最速での優勝を飾った川崎。最多勝点、最多勝利も更新する記録づくめのJ1制覇となった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグは川崎フロンターレが他を圧倒する強さで、4試合を残して史上最速で優勝したね。今年は、コロナ禍の特殊なシーズンで、超過密日程や交代枠の増加(3人→5人)、飲水タイムの設置などで、サッカーのやり方も通常のシーズンとは随分変わったし、変わらざるを得なかった。

 多くのチームがこうした状況に苦戦するなかで、うまく適応できたのが川崎だったと言えるよ。もちろん、川崎もそんなにすんなりと上手く流れに乗れたわけじゃない。シーズン序盤は、チームの大黒柱である中村憲剛が長期の負傷離脱で不在だったし、当初レギュラーで調子のよかった長谷川も数試合で大きなケガを負って長期離脱を余儀なくされた。序盤は小林もあまりゲームに絡めていなかったよね。

 ただ、そういうなかでも三笘がブレイクしたり、旗手や脇坂といった大卒1、2年目の選手が奮闘したり、日替わりでヒーローが出てきていた。そうした選手層の厚さを活かして、うまく5人交代枠やターンオーバーも使いながら、今シーズンの特殊な状況を乗り切れたことが最速優勝につながったんじゃないかな。

 一方で大量に選手を入れ替えたアントラーズは序盤戦まったくかみ合わずに一時は最下位付近を漂っていたし、FC東京も最初は良かったけど、だんだん移籍でタレントが減っていき、連戦が続いて勝負どころで粘り切れずに落ちていった。横浜、神戸も含めたACL組は、日程前倒しで、もう"こなしている"ような状況に陥っていたのは、かわいそうだったね。

 さらには、鳥栖と柏ではクラスターが起きて、名古屋も複数回にわたってコロナ陽性者が出たりして、そのたびにトレーニングや試合開催に大きな支障が出た。なんとか大会を成立させよう、という意思の下で今シーズンは継続されてきたけど、やっぱり選手たちには酷なシーズンだった。早く平等な環境でサッカーをやらせてあげたいよ。

 優勝は決まったけど、シーズンはルヴァンカップ決勝まで含めたら、まだ1か月以上も残っている。新型コロナの感染拡大もまた広がっているし、油断せずにシーズンを締めくくらないと、来年はいつスタートできるのか分からなくなりそうだよ。

次ページ川崎があれだけ完成度の高い「つなぐサッカー」ができたのは…

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