【明神智和】メキシコ戦は「ボディーブローのように実力差が出た90分間」。今後求められそうな代表選手像とは?

2020年11月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

前半に関しては正直日本の方が良かったと思います

明神氏は、随所でメキシコの技術が発揮され、じわじわと日本を侵食してきたという。写真:龍フェルケル

 結果もそうですし、両者の間にあった実力差がボディーブローのように90分間響いて、終わってみれば0-2。やはり、今の段階ではメキシコとの実力差が、これだけあるのだなというのが正直な感想です。技術、したたかさ、ゲーム運び。もちろん局面でファイトするところのスピリットもそうですし、改めてメキシコは良いチームだなと思いました。

 まずは1対1の戦いでボールを取られない。ただ単に相手が突破してくるという場面の1対1だけではなくて、中盤でボールをキープしながら、簡単にボールを下げないプレーであったり、相手にプレッシャーを受けていてもそれをプレッシャーと感じるか、感じないかという落ち着きであったり。ボールを取られずにキープするところはする、それを奪われずに前へと運んでいく。そうした球際でのプレーの質の差を感じました。

 それでも、前半に関しては正直日本の方が良かったと思います。立ち上がり10分くらいまではメキシコも良くて、日本はなかなか形を作れませんでしたが、10分過ぎから30分くらいまでは日本が主導権を握って形を作っていましたし、ボールを保持することも出来ていました。

 特に、27分のシーンでは、攻撃面において目指す形が作れていたと思います。ディフェンスラインから何本かパスを繋ぎながら、最後は伊東純也選手がグラウンダーのラストパスを出し、中の選手には合いませんでしたが、中盤からもゴール前に選手が押し寄せていく、良い展開でした。

 出来ている部分、流れの中でチャンスを作れている部分はありましたから、それを続けて回数を増やしていければ、さらに良くなるのではないでしょうか。
 
 守備面でも2失点しましたが、全てが悪いというわけではありませんでした。ただし、もちろん修正点はあります。

 失点シーンでも、吉田麻也選手が触って、ボールには対応しているけど、全て相手にボールがこぼれてしまう。悪いディフェンスをしているわけではないのに、崩されたという程ではないのに、相手ボールになってしまうという本当に嫌な流れがありました。

 技術で上回る相手に対して、後半運動量が落ちてきて、徐々に一人ひとりの相手ボールへのプレッシャーがかかりにくくなったり、そこをかわされるようになっていった時に、どうやって耐えるのか。またはどうやって流れを切るのかということが問われます。

 結果論として言えば、プレーに変化をつける方法があっても良かったと思います。

 流れを持ってくるには、自分たちのサッカーを貫くという方法もありますが、逆に、自分たちのやりたいことではなくても、駆け引きとして相手にペースを譲り渡さないやり方もあったはずです。例えば、大きくボールを蹴ってラインを上げるとか、前線に入ったときに上手くファウルをもらうとか、苦しい時に丁寧にボールを繋ぐだけではなく、頭を使った"ずる賢い"というか、プレーの変化で陣地を回復する必要もあったのかもしれません。
 

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