「クロップも黒人ならクビだ」リバプールの伝説OBが“差別の実情”を訴える「上層部の意識は今も…」

2020年11月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

クロップも2年でクビに!?

リバプールに黄金期をもたらしているクロップも人種が違えば……。 (C) Getty Images

 15年11月にリバプールの指揮官となったユルゲン・クロップは、当代屈指のモチベーターとしての手腕を発揮。着実にチーム強化を図り、就任5年目となった19-20シーズンにはチャンピオンズ・リーグ制覇を果たし、その翌シーズンにはクラブにとって30年ぶりのトップリーグ優勝を成し遂げた。

 リバプールのクラブ史にその名を刻んだクロップについて、独自の見解を示す識者もいる。元イングランド代表MFのジョン・バーンズだ。

 1987年から約10年に渡ってレッズでプレーし、熱狂的なサポーターから支持された往年のプレーメーカーは、英メディア『PlayOJO』で、現地時間11月10日にイングランド・サッカー協会(FA)のグレック・クラーク会長が人種差別発言が原因で辞任したことをふまえ、「クロップも黒人であれば、職を追われていた」と語った。

「建前は何もないが、一部の人々の認識までは変えられないんだ。私は例としてクロップを挙げるが、彼はリバプールに就任した最初の2シーズンで首位から25ポイント差も付けられて、大きな成功も掴めずにいただろう? もちろん我々は彼が適正な人材であると信じていたが、もしも彼が黒人だったり、英国人だったら2年でクビになっていたと思うよ」

 自身も黒人であったことから現役時代には差別と戦ってきたバーンズは、「この国には、どの業界にも差別が今もある。サッカーはもちろんね」と続けた。

「プレミアリーグ各クラブの上層部には差別的な考えを持った人間が今もいる。あれだけ差別撤廃を訴えておきながら奇妙な話さ。もはや差別というのも違うのかもしれない。それぐらいに根深い問題なんだ」

 最後に「ビッグ6には、チェルシーと特別な絆を持っているフランク・ランパードを除いて、黒人監督やイングランド人監督は誰もいない。だから、この国で黒人である私は、この仕事に就くことは出来ないだろう」と結んだバーンズ。この発言は、プレミアリーグを仕切る人間たちの耳にどう響くだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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