ハイレベルな遠藤航の戦術眼。パナマ戦で前半の問題点をどう見抜き、打開策を見出したのか

2020年11月14日 サッカーダイジェスト編集部

「相手がどういう風にプレッシャーをかけてきているのか」

パナマ戦で遠藤が好パフォーマンスを披露した。写真:Getty Images

 停滞感が漂っていた前半とは打って変わり、パナマ戦の後半、日本は躍動感を取り戻した。その原動力となったのは、橋本拳人との交代で後半開始から途中出場したボランチの遠藤航だろう。

 遠藤は61分、PK奪取につながった一連のシーンで、中盤から久保建英に的確な縦パスを供給し、決勝点の起点になった。また攻撃だけでなく、守備でも鋭いボール奪取を見せ、1-0の勝利に貢献したのだ。

 遠藤は前半にベンチからチームの問題点をどう見抜き、打開策を見出したのか。ハイレベルな戦術眼を持つボランチの答えは実に明瞭だった。まずは、攻撃面についてである。

「前半は上から見ていて、前につけられればチャンスになるなというところで、(1トップの南野)拓実や2シャドーが空いているなと。あとは2ボランチが横並びになったほうがボールを受けやすい、動かしやすいイメージもしていた。

 前半は(柴崎)岳が高い位置を取って間で受けようとしていたんですけど、後ろが3枚、前も3枚いるので、個人的には詰まっている印象がありました。拳人もボールを間で受けようとしていたけど、1ボランチ気味にやっていたので、ちょっと(相手から)捕まり易くなっていたのかなと。そこで、ミスマッチを作るというか、相手がトップ下1枚で来ているなら、2ボランチが少し落ち気味でやるとか。そこらへんは、シャドーの選手がいる分、高い位置を取るタイミングというのは凄く大事なのかなと思います。相手を見ながらポジショニングを取っていきました。

 もちろん味方のポジションも見ているんですけど、僕はどっちかというと、相手がどういう風にプレッシャーをかけてきているのかを特に注意しています。今日も例えば、3バックの(植田)直通がボールを持った時、ボールサイドのボランチは掴んでいるけど、逆サイドのボランチはフリーだったりとか。そういう相手の立ち位置を見ながら自分のポジションを変えているというところが凄く大事で、最近意識しています。良いポジショニングを取れれば、点につながった僕がタケ(久保建英)につけたシーンも、特に難しいことはしていないし。やっぱり立ち位置。相手の位置、自分の位置、味方の位置。そこを常に把握しておくのは大事だと思います」

 攻撃面と同様に、遠藤は守備面でも俯瞰した視点で的確に戦況を捉えていた。

「3トップ気味に守備をしていたので、相手の4枚に対してどうプレッシャーをかけていくかというところで、結構拓実が孤立していて、シャドーの選手が下がり気味になってしまっていた。なので、もうちょっとシャドーを高い位置に出してあげて、ウイングバックも高い位置に出て、というようなプレスのかけかたをするともうちょっとプレッシャーがかかるかな、という印象でした。ブロックを作って守るという面では前半のやり方でも問題なかったと思いますけど、もう1個前からかけたいとなった時に、拓実をアンカーの選手につけさせて、シャドーをCBの選手に行かせるような。そこらへんは後半、点を取りに行きたい状況だったので、ちょっと話はしました」

 攻守両面で前半のうちに問題点を見抜いた力はもちろん、打開策を見出し、後半にプレーで表現できたのも素晴らしかった。パナマ戦の遠藤は、勝利の立役者と呼ぶに相応しい活躍だった。

 遠藤は11月17日に行なわれるメキシコ戦に向けても「どの相手にもしっかり勝っていかないといけない」と意気込む。次戦のパフォーマンスにも期待したい。

構成●サッカーダイジェスト編集部
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