“偉大なる父親”に「DFなんてやるな」と言われて大成! フランス代表に初招集されたマルキュス・テュラムに注目だ

2020年11月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

父リリアンの助言を受けてFWに転向

父親譲りの体躯を活かしたスケールの大きいプレーが魅力のマルキュス・テュラム。フランス代表でのパフォーマンスも注目を集める。(C) Getty Images

 現地時間11月5日、フランス・サッカー連盟は、11月の代表シリーズに向けたメンバー26名を発表した。

 アントワーヌ・グリエーズマンやキリアン・エムバペ、ポール・ポグバ、ユーゴ・ロリスなど常連のメンバーが名を連ねるなかで、ディディエ・デシャン監督は興味深い人選もしている。ボルシアMGに所属するマルキュス・テュラムを初招集したのだ。

 現在23歳のマルキュスは、その名の通り、1998年のワールドカップ優勝メンバーでもある元フランス代表DFリリアンを実父に持つサラブレットだ。昨夏にギャンガンからボルシアMGに入団すると、非凡なアスリート能力と攻撃センスを遺憾なく発揮し、1年目からブンデスリーガで10ゴールをマーク。迎えた今シーズンもレギュラーとして君臨している。

 インテリジェントな守備者として鳴らした父とは異なるポジションでプレーする俊英FWは、フランス紙『L'Equipe』のインタビューでアタッカーになった理由を語っている。

 幼少期にメガクラブやフランス代表として活躍する父を目にし、「すぐに(サッカー選手に)なろうと思った」というマルキュスは、父親譲りの体躯を活かすために元々はDFとしてプレーしていた。だが、アタッカーへのコンバートを勧めたのは、他ならぬ父だったという。

「僕は父の仕事の関係からバルセロナでプレーしていたんだ。そこではコーチからディフェンダーをやるようにと言った。背が高くて、フィジカルもあったからね。でも、それを知った父がすぐに『お前はディフェンスなんかするな。無理だ。前線でプレーすべきだ』って言ったんだ。だからそれ以来、僕がディフェンダーとしてプレーすることはなくなったよ」
 
 父の影響からFWに転向し、才能をメキメキと伸ばしていったマルキュスは、ヘディングを苦手としていた。恵まれた体躯を持ちながらも、空中戦を「かっこいい」と思わなかったのだ。

「そもそも昔から僕はヘディングが嫌いだったんだ。頭を使いたくなかったんだよ(笑)。ディフェンダーにならなかったのはそれが理由でもある。当時はボールが飛んできたら『マトリックス』のように胸でトラップしていたよ(笑)。ヘディングが美しくないと思っていて、ドリブルするために足下でのプレーばっかりをしていたんだ」

 しかし、そんなヘディングへの意識を変えさせたのも父リリアンだった。

「ある時、父が言ったんだ。『背が高いのに頭でプレーしないのは、恥ずかしいことだ』とね。それからクロスやセットプレーが拮抗した試合で重要となることを教えてくれて、『お前は背が高いという並外れた武器を持っているんだぞ。頭でプレーしたくないということで、それを台無しにするのか』と言われたんだ。あれで僕も変わったよ」

 偉大なる父の教えを受け、着実にスターダムを駆け上がっているマルキュス。フランス代表は、11日にフィンランド(親善試合)、15日にポルトガル(UEFAネーションズ・リーグ)、18日にスウェーデン(UEFAネーションズ・リーグ)との対戦が控えているが、そこで期待の"二世アタッカー"に出番は巡ってくるだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

次ページ【動画】柔と剛を兼ね備えたアタッカー! マルキュス・テュラムのゴール集はこちら

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事