レアルは本当に久保建英の“レンタル打ち切り”を考えているのか?番記者が明かす真相「マドリーは驚いている」【現地発】

2020年10月29日 セルヒオ・サントス

この状況がさらに長引くようだと、「驚き」が「憤慨」へ

今季初先発のELでいきなり1ゴール・2アシストの大暴れ。久保がようやく目に見える結果を残した。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 久保建英の起用法を巡るメディアの論争が過熱しているが、保有元のレアル・マドリーがこの一連の騒動に対して抱いている感情は「驚き」である。

 久保の獲得をビジャレアルのフロントに強くプッシュしたのは当時監督に就任したばかりのウナイ・エメリだ。実際、久保に直接電話をかけて入団を説得している。ところが主力級の役割が与えられると踏んでいたのが、その当の本人が起用を渋っているのが実情なのだ。

 もっとも、この序盤戦に、チームの骨格を固めることに比重を置いて現有戦力を重用しているエメリの采配は理解できるものだ。実際、マドリーの首脳陣もヨーロッパリーグが開幕し、これから徐々に出場機会が増えていくと期待しており、現時点でのスタンスはあくまで静観だ。ただこの状況がさらに長引くようだと、「驚き」が「憤慨」へと転化したとしても不思議はない。

【動画】圧巻のプレーを連発!久保建英がELデビュー戦でマークした1ゴール・2アシストをチェック
 留意すべきは、今夏、マドリーのもとには久保の獲得を打診するクラブが、ラ・リーガだけでも10以上あったことだ。その中で、久保の意向を最優先しながら、慎重を期して選んだ移籍先がビジャレアルだった。その決断の際にエメリ監督の存在が重要な要素となったのは既述した通りだが、最終的にゴーサインを出したのはマドリーの首脳陣であり、もちろんその責任も感じている。

 ただこれはとても重要なことだが、シーズンが終了するまではマドリーは動向を注視する以外にすることはほぼ残されていないことだ。一部のメディアでは、冬にレンタル契約を破棄する可能性が取り沙汰されているが、その決定権はマドリー側にはない。

 ビジャレアルにとって久保のレンタル獲得はビッグオペレーションだった。レンタル料は250万ユーロ(約3億1250万円)。さらにインセンティブを含めると、その額は500万ユーロ(約6億2500万円)にまで膨れ上がる。加えて久保サイドと直接交渉したうえで年俸も全額負担している。

 件のメディアではレンタル契約の破棄の可能性を論じるために、ヘスス・バジェホとアンドリー・ルニンが前例として取り上げられている。ただいずれも背景が決定的に異なる。

次ページバジェホやルニンとは決定的に状況が違う。むしろ瓜二つなのが…

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