英国の熟練記者が森保ジャパンを斬る!「強力な守備がさらなる進化を促すだろう。正直言って久保には…」

2020年10月14日 マイケル・プラストウ

あまりにも貴重な経験を積めた90分間

左サイドで先発した久保。コートジボワール戦では存在を誇示できなかった。(C)Getty Images

 今回もまた、実に見応えのあるフレンドリーマッチだった。

 日本もコートジボワールもよくボールを動かし、ハイテンポを維持しながら上手くバランスを保っていた。ピッチを広く使い、互いのカバーリングを怠らずに、攻守両面で致命的なミスはほぼなかったと言える。数日前、コートジボワールはベルギーを相手にドローを演じたという。それも納得の内容だった。たとえベルギーがメンバーを落としていたとしてもである。

 そんな拮抗したゲームでは、得てしてたったひとつのエラーが勝敗を分ける。ゲームの最終盤に日本の驚嘆すべきフィニッシュが生まれるのだ。柴崎岳と植田直通のコンビは長身揃いのコートジボワール守備陣をまんまとトラップにはめ、見事なクロスと見事なポジショニングからのヘッダーで決勝点をもぎ取った。とりわけ植田の動きは特筆に値する。おそらく彼らは鹿島アントラーズ時代にこのパターンを何度も練習していたに違いない。

 さて、今回の日本代表チームをどう評価しようか。ディフェンスは輝き、中盤は安定感があり、攻撃陣もまずまずの出来映えだった。将来的なことを考えれば、チームの基盤を厚くするうえであまりにも貴重な経験を積めた90分間だろう。守備があれだけの強度を誇れば、指揮官は攻撃においてさまざまなバリエーションを試せる。カメルーン戦と同じく、鉄壁の守備が特大の支えとなっているのがよく理解できたし、今後のさらなる進化を促していくはずだ。

 では、最終ラインから個別に見ていこう。

 先発を飾ったGK、シュミット・ダニエルは必要とされるプレーをしっかりと示した。セービング然り、フィード然りだ。吉田麻也と冨安健洋のCBコンビはこの日も出色の出来で、感服した。カメルーン戦を超える圧倒的な存在感を放ち、攻撃への繋ぎも完璧だったと付け加えたい。室屋成は右サイドで継続的な守備の貢献を見せ、70分に南野拓実のビッグチャンスをお膳立てするなど攻撃面でも積極的に関与した。

 今回は左サイドバックに入った中山雄大は、まるで中盤でプレーしているようにスムーズに振る舞い、チームが求める汎用性を体現してみせた。今回のツアーでもっとも大きな発見にして収穫と見なすべきタレントである。遠藤航と柴崎は、経験豊富でパワフルなコートジボワールのアタッカーに対して、ピンチの芽を摘み取る絶妙な働きを繰り返していた。

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