【柏】突き付けられた堅守打破への課題

2015年03月14日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「相手DFの裏に入り込む動きが欠けていた」(吉田監督)

堅守のチーム相手に、大谷(7番)、茨田ら中盤からどうブロックを崩していくかが、シーズンを占うポイントになる。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 リーグ戦のホーム開幕戦で、吉田体制の公式戦無敗記録は5まで伸びた一方、持ち前のポゼッションを高めた攻撃で、いかに堅守の相手を崩すかに課題を残すゲームとなった。

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 4-4-2のブロックを作り、堅い守備を築く仙台に対し、柏は序盤からボールを保持して突破口を探った。今季の公式戦では仙台ほど守備的なチームとの対戦はなく、「手探りな部分はあった」(工藤)が、インサイドハーフの大谷と栗澤もアンカーの位置まで下がってビルドアップに参加するなど、スペースを作る工夫は見られた。それでも、相手のボランチが安易に食い付かなかったためブロックを崩せず、31分に失点を許した後はスペースをさらに消されてしまった。
 
「仙台の守備ブロックは素晴らしいものがあった。なかなかシュートまで持っていけず、決定的なチャンスが作れなかったのは、(自分たちがボールを保持していても)実際は相手のペースだったのかなと思う」と鈴木大輔は振り返る。
 
 その最たる要因は、「相手DFの裏に入り込む動きが欠けていた」(吉田監督)こと。レアンドロと武富孝介が不在(故障ではなく、ACLを見据えた采配だと思われる)だったとはいえ、特に前半はパスが"各駅停車"となり、効果的なサイド攻撃や中央で複数人が絡んで崩す場面はほとんどなかった。
 
 守りを固めた相手への対抗策は、どのチームにとっても課題のひとつだが、自らアクションを起こし、ボールとスペースを支配する攻撃的なサッカーを打ち出す今季の柏にとっては、より重要度の高い問題だ。
 
 今後の対戦相手も仙台のようにしっかりと研究し、堅い展開に持ち込んでくる可能性は十分考えられるだけに、ここをどう打開するか、どう攻撃のバリエーションを増やしていくかは、シーズンを占うキーポイントになる。
 
 1トップの工藤が、
「もう少し中央で、フリックやスルーのような1タッチ、2タッチのプレーを増やして、人が入れ替わりながら攻撃を仕掛ける必要がある。今日に関して言えば、CFに対して入って行く選手、絡んでいく選手がもう少し欲しかった」
と話せば、栗澤も
「スペースを開けたところで誰が入って来るとか、動きを全員が分かるようにやっていきたい。ゴール前まで行かなきゃいけないし、僕らはそういうサッカーを目指している。そこは突き詰めないといけない」
と同調する。
 
 シーズン序盤で課題が見えた点をポジティブに捉え、執念で得た勝点1をどう対策の糧とするか。吉田レイソルの真価が問われることになるだろう。
 
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
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