【カメルーン戦|戦評】光った最終ライン3人の充実ぶり。ただし考慮しなくてはいけないのは…

2020年10月10日 サッカーダイジェスト編集部

活動再開初戦はカメルーンとスコアレスドロー

無失点で試合を終えた守備陣。個々も奮闘した。写真:龍フェルケル

[国際親善試合]日本 0-0 カメルーン/10月9日/スタディオン・ハルヘンワールト(オランダ/ユトレヒト)
 
 欧州組ら主力メンバーで戦った昨年11月のカタール・ワールドカップ・アジア2次予選のキルギス戦から約1年(昨年末のE-1選手権は国内組で参戦)、新型コロナウイルスの影響により活動をストップしていた森保ジャパンが、ようやく再スタートを切った。

 国際親善試合としてオランダで対戦したのはカメルーン代表だ。試合前日には2選手から新型コロナウイルスの陽性反応が確認され、濃厚接触者を含めた計3人がチームから離脱するなど、怪我人を含め、敵将トニ・コンセイソン監督が「プレーできるのは17人という認識である」と説明した相手であった。

 もっともカメルーンは序盤からポゼッションを展開。前が詰まれば一度、最終ラインに戻し、アンカーと2CBの3枚で回しつつ、中と外へ自在に動くウイングを活かしながら進攻する相手に対し、日本はなかなか守備をハメることができなかった。

 ただし、今回はオール海外組で臨んでいる日本である。特に海を渡って久しい最終ラインの吉田麻也、冨安健洋、酒井宏樹はアフリカの選手との対戦も経験豊富で、高さ、強さでも的確に対応。

 後半は森保監督の代名詞である3-4-2-1へシステム変更したなか、3バックを組んだ3人は、最後まで集中を切らさずに無失点で試合を終えることに成功している。カメルーン戦の収穫と言えば、この3人の出来と言えるだろう。

 キャプテンの吉田も試合後には「こういう環境のなかで、ヨーロッパの選手だけで集まれたというのは、ひとつ日本代表が次のステップに向かっていると思いますが、まだ選手の質であったり、クラブの規模は足りないと思っているので、こういう相手と、こういう試合を毎回やって、チームを強化していくことが大切だと思います」と前を向いた。

 森保一監督が評価したのもディフェンス面で、「まだまだ上手く守れるやり方はあると思いますが、失点ゼロで抑えられたということは選手たちもよく踏ん張ってくれたと思います」とコメントしている。
 
 もっとも守備陣に対し、攻撃陣は連係面でチグハグさが見られ、効果的に連動して相手を崩すことはできず。3-4-2-1に代えた後半は、CF、シャドー、ウイングバックが絡み、好機を作り出すシーンはあったものの、最後の質の部分が今一歩で、ビッグチャンスは48分の伊東純也の右からのクロスに大迫が合わせたヘッド、試合終了間際に久保建英が狙った直接FKくらいであった。

 今回の活動にあたって森保監督は「1年近くできていなかっただけに、基本コンセプトの確認、意思統一」をテーマに掲げ、全体のやり方を思い出すところから改めてチーム作りを進めている。

 そのなかで、しっかりトレーニングを積めたのはほんの数日で、より意志の疎通が必要な攻撃面で、この1年のブランクが如実に表われたと言えるだろう。

 13日のコートジボワール戦では、この点を改善できるかが焦点となる。

 もっとも相手のカメルーンは昨年10月に就任したトニ・コンセイソン監督の下で3試合の強化しか行なっておらず、日本と同じ約1年ぶりの活動であったこと、そして怪我などで主力を招集をし切れていなかったことは考慮しなければならない。

 だからこそ、コートジボワール戦ではより胸のすくような戦いに期待したいところである。今度は攻撃陣も奮闘できるか、注目だ。

文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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