街クラブが繰り広げたハイレベルで心を打つ激闘!「ワーチャレ東日本予選」に見えたジュニアサッカーのいま

2020年09月28日 木之下潤

準決勝は2試合とも強度が高い戦いを見せてくれた

16チームが熱戦を繰り広げたU-12ワールドチャレンジ街クラブ予選2020の東日本予選。写真:木之下潤

「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ 街クラブ予選2020」の東日本予選が9月19日と20日の両日に北市川フットボールフィールドで行なわれた。16チームが熱戦を繰り広げた大会をレポートする。

――◆――◆――

 チームとして勝つために何を選択するか?

 準決勝に進んだFC市川ガナーズは勝つことに徹していた。それは一般的なジュニアサッカーで見られる逃げの「ボカ蹴り」ではなく、チームとして意図をもったロングボール戦略だった。

 失点のリスクを避けるため、まずは相手陣内でサッカーをする。この意思統一がなされた上で、さらにターゲット目掛けて送られるボールに対する連動は明らかなチーム戦術によるものだった。

 これに手を焼いたのはFCトリアネーロ町田だった。予選3試合を全勝。得点18・失点1と出場した16チームの中で圧倒的な強さを見せつけてきたトリアネーロは、ボールをつなげずに苦しんでいた。

 ボールを持てば、パスコースを限定しつつ、ファーストディフェンダーがボール目掛けて猪突猛進にプレスをかけてくる。そのプレスはただ圧力をかけるだけのアリバイ守備ではない。明らかに「ボールを奪ってやる」という意思をもった守備だった。

 顔を上げて出しどころを窺っても、ガナーズの選手たちはきっちりと自分たちの味方にタイトなマークを行っている。チームの攻撃として優先順位の低い「仕方なく放り込むボール」は、やはりリズムのいいパス交換を生まない。

 ガナーズにとっては狙いどおりの試合運びである。

 決勝に進むために目の前の試合に勝つことだけに力を注がれた準決勝は、「大会ベストバウトだった」といっても過言ではないだろう。前日に予選3試合をこなす過密日程のなか、互いに激しくプレスをかけ、マークにつき、ボールを奪い合う姿は単なる「ボカ蹴りゲームではなく、意志ある主導権争い」だった。

 10年近くジュニアを専門に取材を行なっているが、これほど強度の高い戦いは珍しい。結果はガナーズが3-1で勝利を収めた。

 すぐ隣の会場で行なわれたもう一つの準決勝は、昨年度の全日本U-12サッカー選手権大会を制して日本一に輝いたバディーSCと柏レイソルA.A.TOR’82の対戦。取られたら取り返す。そんな点取り合戦の末、2-2で迎えたPK戦はピッチ内の選手がすべて蹴り終え、キッカーが2巡目まで回る大接戦だった。

 結果はPK11-10でレイソルトーアが勝ち、決勝戦は「ガナーズ×レイソルトーア」となった。
 

次ページ試合機会を創出した大会運営者の心意気に感謝!

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事