【C大阪】昨季の雪辱へ、フォルラン完全復活の兆し

2015年03月11日 本田健介(サッカーダイジェスト)

アウトゥオリ監督は“外国人3トップ”を採用

開幕戦で早速結果を残したフォルラン。豪快なFKでチームに貴重な同点ゴールをもたらした。(C) SOCCER DIGEST

 昨季、まさかのJ2降格という屈辱を味わったC大阪の新たな船出は、東京Vと1-1のドローという結果に終わった。
 
 この日、C大阪はキャンプから試してきた4-3-3のシステムで臨んだ。カカウがベンチ外となり、3トップにはフォルラン、パブロ、玉田を起用し、中盤インサイドハーフには扇原、関口、アンカーには山口が入った。最終ラインは右から酒本、山下、染谷、丸橋の4人。守護神はキム・ジンヒョンが務めた。
 
「相手がかなり前から来ていた」(山口)との言葉通り、序盤は東京Vの激しいプレッシャーを受けボールを前へ運べず、低い位置での無難なパス回しが目立った。それでも、15分を過ぎた頃から「ペースが出てきた」(アウトゥオリ監督)チームは、最終ラインからのロングフィードを起点にチャンスを作り出す。
 
 23分には後方からのフィードに抜け出したフォルランが絶妙なトラップからGKと1対1に。アウトサイドで放ったシュートは東京Vの守護神、佐藤の好セーブに遭い得点には至らなかったが、徐々に得点の匂いを感じさせた。
 
 しかし、後半立ち上がりの47分、指揮官が「不用意だった」と振り返る緩い守備対応で先制点を献上してしまう。ペナルティエリア内に侵入した東京Vの中後を止めきれず、最後はアラン・ピニェイロに決められる。これでC大阪は1点を取り返すためさらに攻勢に出た。
 
 そのなかで、印象に残ったのがフォルランのコンディションの良さだ。昨季は監督交代が繰り返されたなか、9月に大熊裕司監督が就任すると、完全な構想外に。試合にまったく絡めずにチームの降格を見届けた。
 
 転機が訪れたのは今月1月。ブラジル人のアウトゥオリ新監督の就任だ。同じ南米出身の指揮官は今季、フォルラン、カカウ、パブロで形成する"外国人3トップ"を採用。3人にはある程度の自由を与え、フォルランもこの起用法に応えた。
 
 開幕戦では、前述の前半の決定機以外にも3本のビッグチャンスに絡んだ。そしてハイライトは79分のFK。扇原が後方に少し動かし、パブロが止めたボールを豪快にゴール右隅に蹴り込んだ。結局、逆転ゴールは奪えなかったものの、フォルランはその後も東京Vの脅威になり続けた。
 
「裏へのボールとサイドへのボールの使い分けをしなくてはいけない。後半は攻撃が中央に偏り過ぎた。先に点を奪われ、前がかりになったところでカウンターをくらった」(山口)と反省点を挙げればキリがない。
 
 それでも扱い方を間違えれば大きなアキレス腱になるフォルランがシーズン初戦でゴールを挙げ、流れに乗れたことは大きい。現状、契約は今年の7月までとなっているこのワールドクラスのストライカーをチームに組み込む作業は、開幕戦を見た限りではまずまずの成果を上げているようだ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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