「理想的なフロンターレの競争原理」元日本代表、橋本英郎がJ1・J2・J3の“首位チーム”を大胆に斬る!

2020年09月25日 橋本英郎

北九州と秋田は「球際での勝利回数」が特筆に値

J1で首位を快走中の川崎。分厚い選手層を誇示する。写真:徳原隆元

 Jリーグもシーズン全体として前半戦が終わり、早いもので後半戦に突入しつつあります。そこで今回は前半戦を総括する意味で、J1・J2・J3各カテゴリーの首位チームについて書きてみたいと思います。

 彼らはなぜ、首位に立っているのか? その強さの根底にあるものはなんなのか? 全カテゴリーを通じて共通に言えることが3つあると、僕は捉えています。

 まずひとつ目は、交代選手の活躍です。特にJ1の川崎フロンターレはその傾向が顕著です。

 前線の選手が交代するたびに、攻撃のチャンネルが見事に切り替わります。それに対して、相手チームが対応し切れていません。しかも今季に限っていえば、交代枠が5つもあります。大胆な交代、体力的な部分や選手のコンビネーションのバリエーションも増やしていけます。

 J2のギラヴァンツ北九州、J3のブラウブリッツ秋田もゲーム終盤にかけての得点率が高く、前半のとりわけ早めの時間帯も点を多く取っています。交代選手がいるから前半から飛ばす。後半はフレッシュな選手が活躍する。そのような部分がうまくいっているからこそ、首位に立っているのだと思います。
 
 ふたつ目は、チームコンセプトが明確。

 川崎、北九州、秋田とそれぞれ色は違う。ただ対戦してきたチームからすれば、彼らの色は明確に答えられるはずです。結果が出ているからコンセプトがブレない、コンセプトがあるから結果が出ている。鶏が先か卵が先かの話みたいですが、僕が感じるところでは、コンセプトが明確でブレずに練習し続けているからこそ、安定して闘えていると思います。

 3つ目は、ファイトする。よく言われるデュアルですね。

 これは特にJ2、J3では顕著に結果に繋がっているように感じます。川崎の場合は、奪ってからの攻撃の精度が非常に高いため、カウンターの精度、結果(得点)が出ています。北九州、秋田は得点という結果に直結しなくとも、試合を通じて「球際での勝利回数」は各試合勝ち越しているはずです。

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