【柏】思わず嬉しくなる江坂任の気が利くひと言。司令塔としてのプレーに相通ずるパーソナリティとは?

2020年09月21日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「相手の嫌なところ、空いているスペースとかを見ながらプレーしている」

柏の司令塔である江坂任は、広島戦でも活躍した。写真:滝川敏之

 柏レイソルの江坂任に取材をすると、「気が利く人だなあ」とつくづく感服する。

 今週木曜日に全国発売される「サッカーダイジェスト」では、「司令塔が語る『司令塔論』」という特集を組んでいるのだが、その誌面で柏の司令塔として江坂がインタビューに応じてくれた。

「お久しぶりです!」

 オンラインで開口一番、江坂は筆者に元気よく挨拶してくれた。時間を取ったインタビューに応じてもらったのは、昨年7月に実施した瀬川祐輔との対談まで遡る。その後は何度か試合後に話を聞いているが、複数記者による短時間の囲み取材なので1対1で挨拶はできていない。加えて今季はコロナ禍の影響もあり、まともに顔を合わせられてなかったので、本当にご無沙汰だった。多くの記者から取材を受けているにもかかわらず、心配りができる冒頭の挨拶に「覚えてくれていたんだ」と思わず嬉しい気持ちになった。

 細部に気が付くところは、インタビューで語ってもらった「司令塔論」からも十分に感じた。今回は誌面で泣く泣く割愛した一部を紹介したい。

「(プレーの選択は)試合中のスペース次第で変えています。相手の嫌なところ、空いているスペースとかを見ながらプレーしている。それもあって、(今季は)少しずつ(プレーに)余裕は出てきたかなと思います」

 直近の広島戦でも、巧みに空いているスペースを突いた。広島の右ボランチである川辺駿が2列目からの飛び出しを狙う傾向があり、それもあってか江坂は主に2列目の左にポジションを取っていた。おかげで序盤は効果的に前を向いてボールを持てたが、徐々にマークが厳しくなる。ただ、そうなれば江坂はワンタッチプレーで相手をいなした。やはり、細かい変化に気が付くし、頭の回転が速い。

 常に顔が上がり、ピッチ全体を俯瞰的に見れている柏の司令塔は、広島戦で北爪健吾のゴールをアシストした。インタビューで司令塔論を聞いたあとにその妙技を見ると、「神は細部に宿る」という言葉は、江坂にぴったりだと思った。心配りができる挨拶と、細部に気が付く司令塔としてのプレーは、「気が利く」というパーソナリティに相通ずるだろう。

 思慮深いコメントと、それを裏付けるインテリジェンス溢れるプレー。人としてもサッカー選手としても尊敬に値する江坂から目が離せない。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
 
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