「クールながら温かい言い回しで」厳しい指摘も…内田篤人“コーチ”の言葉の影響力をU-19代表監督も実感

2020年09月15日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

「みんな必死にやってるけど、こんなんじゃまだまだ届かないよ」

「彼のクールながらも温かい言い回しで言ってくれると聞いている選手にも効くんですよね」とは影山監督。内田コーチの言葉は選手たちにもしっかりと受け止められているようだ。写真:徳原隆元

 来年のU-20ワールドカップ出場を目指すU-19日本代表のトレーニングキャンプが9月14日、千葉・幕張の高円宮記念JFA夢フィールドで始まった。3日間にわたって行なわれる合宿には先日、14年半の現役生活にピリオドを打った元鹿島アントラーズの内田篤人氏が「ロールモデルコーチ」として参加。「世界の舞台で培った経験や知見を後進の育成に活かす」という目的のもと、まずは初仕事として同キャンプでアンダー19世代の指導に当たった。

 その効果はてき面だったようだ。合宿初日となった14日は、午前と午後の2部練習となったが、午後練習前のミーティング時には内田コーチから選手たちに向けて、温かくも厳しさに溢れた"叱咤激励"があったという。

 今季Jリーグデビューを果たし、初ゴールを含む2得点をマークしている櫻川ソロモンは「世界で経験してきた人の言葉というのは説得力があるし、みんなも言葉を重く受け止めている。『まだまだ足りない』ということを言われたんですが、本当にその通りでみんな午前中の練習では自分も含めてぬるさがあったので、そこは厳しい言葉をもらって、集中して練習をやれたと思います」と、大先輩の言葉に大きな刺激を受けている。

 またチームを率いる影山雅永監督も「選手として何年も世界のトップで活躍していたので、言葉の重みが違う。やっぱり世界と戦うということを考えた時に、みんな必死にやってるけど、こんなんじゃまだまだ届かないよ、ということを優しいけど厳しさに溢れた口調で言ってもらいました」と、ミーティング時の状況を語る。またその効果についても、「彼のクールながらも温かい言い回しで言うと、聞いている選手にも非常に効くんですよね。選手たちもあれじゃまだまだ足りないんだな、と思って(午後から)ピッチに立ったと思いますね」と内田コーチの影響力の大きさを実感していたようだった。

 午後のトレーニングは、対面でのパスコントロールから始まり、スペースを限定しての4対4や10対10のゲーム形式を行なったが、櫻川が「一個一個のパスの質や対人の時の腕の置き所などを指導してもらいました」と語るように、選手個々に具体的な指導を行なう様子も見られた。

 8月まで鹿島でチームメイトとして、ともに戦った松村優太は「やっぱり経験してきたものが違うので、内田さんの言葉の一つひとつに重みがあるし、午後の練習はガラッと雰囲気が変わっていた。そうした言葉の大切さというのが分かるし、そういう経験をしてきた人がいまコーチとして僕たちに教えてくださっているのはすごい有難いこと」と、トレーニングの雰囲気の変化を感じた一方で、改めて内田コーチの"偉大さ"を感じているようでもあった。

 引退会見時にはJリーグと世界の差を埋めるためには「歴史が違うのである程度の時間が必要」とも語っていた内田コーチ。世界と伍して戦える人材の育成を図るべく、未来のA代表を担う若手たちに刺激を与えるという意味では、コーチとして大きな一歩を踏み出したと言えそうだ。

取材・文●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

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