今の清武弘嗣は手に負えない。セレッソの司令塔はようやく息を吹き返した

2020年09月14日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

ロティーナ監督も称賛を惜しまない

58分に鮮やかなミドルシュートを突き刺す。敵サポーターを黙らせる圧巻のゴールだった。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ16節]横浜1-2C大阪/9月13日(日)/日産スタジアム

 ペネルティエリアの手前5メートルあたりで右サイドハーフの坂元達裕からパスを待つと、ダイレクトで右足を振り抜いた。

 左へのカーブ回転がかかったボールは、GKをあざ笑うかのように、その頭上を越えていく。もはやGKに成す術はなかった。

 このシュートを見ていた全員が、その軌道の美しさに息をのんだに違いない。日産スタジアムは一瞬静寂に包まれる。そして鮮やかな放物線を描いたボールがゴール左に収まると同時に、清武弘嗣は吠えた。

「GKが出ているのは前半から見ていて分かっていました。あのシーンもタツ(坂元)が持って、パスが来るなと思った瞬間にGKを見たら出ていたので、狙い通りです」

 逆転勝利の立役者である清武は、そう同点ゴールを振り返った。
 

 背番号10の鮮烈な同点ゴールで勢いに乗ったセレッソ大阪は、終盤に坂元からパスを受けた途中出場の高木俊幸が加点。昨季チャンピオンの横浜F・マリノスから見事な逆転勝利をもぎ取って見せた。

 逆転勝利の立役者となった清武の見事なゴールに、ロティーナ監督も称賛を惜しまない。

「(逆転できた要因は)やるべきことができたことプラス選手のクオリティだと思います。同点ゴールは、清武の素晴らしいクオリティから生まれました。チームとしてやるべきことをやって、個人のクオリティが重なると、ああいう素晴らしいゴールが生まれます」

 さらにこのスペイン人指揮官は、この殊勲者への絶大な信頼を口にする。

「我々のキャプテンで、チームのリーダーです。プレー面では、チームを落ち着かせるだけではなく、ゴールも決める。さらに、守備でもハードワークしている。チーム全体の模範でもありますし、我々としても彼のプレーには満足しています。彼が継続してプレーすることは、チームにとって良い成長を与えると思います」

 ロティーナ監督が言うように、清武が横浜戦で見せた活躍は、ゴールだけにとどまらなかった。
 

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