「悲観する必要はない」番記者に訊いた久保建英の“立ち位置”。開幕スタメンの可能性は何%?【現地発】

2020年09月12日 ハビエル・マタ

2列目の3枠を5人が争う構図に

プレシーズンマッチは全5試合に出場した久保。ライバルを上回るインパクトは残せなかった。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 タケ・クボ(久保建英)がラ・リーガ開幕節のウエスカとの一戦でスタメン出場する可能性は高くはない。それがプレシーズン5試合のパフォーマンス、ウナイ・エメリ監督の起用法、現状のチームへのフィット具合を踏まえて、わたしが抱く印象だ。数字にすれば、40%といったところだろう。

 ただ「出場」となるとその可能性は一気に上昇する。セカンドトップ、左右サイドならどこでもこなすポリバレント性も加味すれば、いずれのポジションにおいてもチャンスがある。

 プレシーズンマッチでタケがもっとも起用されたポジションがセカンドトップだ。ただこのポジションはつい最近までスペイン代表への招集でチームを離れていたジェラール・モレーノという攻撃の大黒柱が立ちはだかる。

 ジェラールはタケ同様にサイドもこなすが、そのサイドにしても、左にはモイ・ゴメス、右にはサムエル・チュクウェゼとプレシーズンマッチでもっとも多くの頻度で起用された確固としたレギュラーが君臨する。その意味で、タケはプレシーズンマッチでこの3人から定位置を奪えるほどのインパクトを放つことはできなかった。
 
 ただそれも致し方のない部分もある。4人の中で新戦力はタケただ一人だ。しかも新型コロナウィルスの影響でプレシーズンの期間が短くなった関係で、全体で練習する機会も減少し、新たな環境に適応しなければならないタケにとっては難しい面が多々あった。

 さらにはエメリ監督が標榜するサッカーは前任者のハビエル・カジェハとかなり似通っている部分があり、もともと在籍していた選手には少なくないアドバンテージがある。したがって現状の3つのポジションの控え一番手という立ち位置は決して悲観すべきものではない。

 しかも今シーズン、ビジャレアルはラ・リーガに加えて、ヨーロッパリーグ、コパ・デル・レイの3つのコンペティションを戦い、そのためにクラブは戦力の増員を図っている。交代枠5人も維持されることが決定しており、エメリ監督は対戦相手や各選手のコンディションに応じて積極的にローテーションを導入していくのは間違いない。

 現時点で3人がレギュラーとはいえ、タケはいつでも出場できる状態を維持しながら出場機会を伺い、アピールしていけばいい。同じ立場の選手としてハビエル・オンティベロスの名前も挙がるが、エメリの信頼はそこまで高くはなく序列は1つ落ちる。チームには他にもセカンドトップ、左右サイドをこなせる選手はいるが、当面はこの5人を中心に回していくことになりそうだ。

【動画】2点に絡む活躍!ソシエダ戦で披露した久保建英の絶妙スルー&パスはこちら

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