「旧知の指揮官がガクを新プロジェクトの目玉に」レガネスはなぜ柴崎岳を獲得したのか? スペイン人記者に直撃!【現地発】

2020年09月11日 エル・パイス紙

「ヘタフェではほとんど出る幕がなかった」

レガネス移籍が決定した柴崎。恩師の下で本領を発揮できるか。 (C)Mutsu FOTOGRAFIA

 ガク・シバサキ(柴崎岳)がレガネスと契約した。レガネスは昨シーズン、4年間死守してきた1部の座を失い、今シーズンから再び2部で戦うことになるが、目標は当然昇格だ。そしてその新プロジェクトの目玉として迎え入れられたのが、ガクだった。

 レガネスは模範的なクラブだ。ファンと一緒に盛り上げようとホームゲームの前にたびたびユニークなキャンペーンで話題を呼ぶのは、新しいアイデアを取り入れていこうとするクラブの先進性を示している。ただその一方で、レガネスは実質3部のセグンダBに長く在籍してきた庶民のクラブでもある。本拠地のブタルケはボカディージョ(スペイン風サンドイッチ)の匂いがそこかしこに漂う、バリオ(地区)のスタジアムといった趣が今なお残っている。

 つまり新しさと古さが混在しているのがレガネスの魅力である。ガクにとってはテネリフェ、ヘタフェ、デポルティボに次ぐスペインで4チーム目となるわけだが、その中でもっとも活躍を見せたのが最初に在籍したテネリフェだった。そして今回、レガネス入団への大きな決め手となったのが当時テネリフェを率い、ガクのポテンシャルを発揮させたホセ・ルイス・マルティ新監督の存在だ。

 マルティは現役時代、全盛期を過ごしたセビージャをはじめ、テネリフェやマジョルカなどで活躍。判断力とパスワークに優れたセントラルMFで、ガクのプレースタイルと共通した部分がある。そうした両者の類似性がお互いの理解を深めているのだろう。実際、オサスナから加入したルイス・ペレアと同様にガクの獲得を主導したのは他でもないマルティであり、ガクも1部復帰を目指すプロジェクトの本気度に加えて、かつての指揮官と再会できることが移籍を決断する大きな要因になったことを認めている。

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 さらにレガネスは、ガクが2つ目に在籍したヘタフェと同じくマドリード郊外の街をホームタウンにするクラブだ。レガネスの関係者はその時の経験がプラスになると考えており、それが獲得に踏み切る判断材料にもなっている。

 たしかにヘタフェでは活躍できなかったが、それは「ガクは技巧派のMFだ。でもホセ・ボルダラスは、異なったタイプの選手を重用したのでほとんど出る幕がなかった」とその古巣のチームスタッフが振り返るように、監督が志向するサッカーとの相性の悪さも無関係ではなかった。レガネスもその点は当然織り込み済みで、もちろん昨シーズン、デポルティボで1年間2部を戦った経験もプラスに働くのは間違いない。

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