【金沢】鍛え続けた無名の若手たちが健闘中!試練の夏を乗り越え、後半戦は倍返しの予感も…

2020年09月11日 村田亘

直近の町田戦は19歳・窪田のアシストから21歳・島津のゴールでドロー。いま売り出し中の若手が活躍

ここ4試合負けなし(2勝2分け)と好調の金沢。島津(写真左)や加藤、窪田ら売り出し中の若手が健闘を見せている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 金沢にとって試練の夏が終わろうとしている。7月末からはとにかく負傷者が相次いだ。まずは金子昌広が足首を傷めて離脱。5連戦を迎えるとルカオ、大橋尚志、下川陽太も離脱し、藤村慶太や加藤陸次樹もコンディションが心配されるギリギリの状態で戦っていくこととなった。

「連戦では怪我もつきものなので総力戦になるのは予想していたこと。思った以上にけが人が出たけど、若い選手にもより一層チャンスができた。そういうなかでも結果を出せればチームを底上げできる」と話したのは9日の町田戦で12試合ぶりに復帰した金子。この言葉通り、この試合で金沢は19歳の窪田稜のクロスを21歳の島津頼盛が押し込んでゴールを決め、1-1のドローに持ち込んだ。このコンビは13節の山形戦でもゴールを生み出すなど、加藤陸次樹と共にいま売出し中の若手だ。

 直近の18節で先発平均年齢が最も若かったのは金沢の24.45歳。ただし金沢はほとんどの試合を23~24歳代で戦っている。これはなにも自動昇格はほぼないと見切って若手に切り替えたからではない。そもそも柳下正明監督は「若手を重視する」という方針すら採っていない。重要なのはチームの約束事をしっかり守って戦えるかどうか、だ。

 マンツーマン気味で人についていく守備をする金沢ではチームの規律を乱すような選手がいると誰もカバーできず、大きな穴をあけてしまうことになる。また、今シーズンはルカオという規格外の選手がいるが、個でゴールを奪える選手を獲得することも難しい。そういった理由から、チームで戦える選手というのが試合に出場するための最低条件となってくる。もちろん完璧な選手をどんどん獲得できるわけではないので、柳下正明監督は「できる選手」ではなく「やろうとする選手」にチャンスを与えている。そのため、はっきりとした個人のミスで失点することは多い。町田戦でも高卒ルーキーの高安孝幸がマークを外したところから失点をしている。ただ、それは仕方がない面もある。ゴール前でもカバーよりマークが重視されるし、数的同数で守ることが基本だ。攻撃のことも考えてリスクのある守備を採用しているが、若い選手たちにとっては慣れないことも多いだろう。なにより求められることを完璧にできているのなら、ほかのクラブが放ってはおかないはずだ。
 

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