「海外行く気あるの?」。引退会見で思い出した内田&大迫のエピソード

2020年09月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「最初は代理人をつけなくていいと考えていた。でも…」

内田篤人のある言葉が結果的に大迫のキャリアの切り開くことになる。写真:サッカーダイジェスト

「チームメイトや監督、人に恵まれたと思います。シャルケに行く時、僕はシャルケのことを知らなかった。海外サッカーをあまり見なかったので。シャルケをチョイスしてくれた代理人の見る目や、タイミング、もしかしたら運もあります。自分のプレースタイルに合う国とかチームを決める、チョイスする力も選手のひとつの能力だと思います」

 20年8月24日の引退会見で「シャルケで長い間プレーできたことについて」訊かれた内田篤人の答がこれだった。個人的に印象的だったのは「シャルケをチョイスしてくれた代理人の見る目」という件で、それで思い出したのが内田と大迫勇也の関係だった。

 大迫に代理人を紹介したのが、実は内田だった。その時のエピソードを、大迫は次のように話していた。

「僕がドイツに移籍するきっかけを作ってくれたのは、篤人さんだったんです。ある時、急に篤人さんから電話があって、『大迫ってさ、海外行く気あるの?』と訊かれたんですよ。それで『考えてはいますけど』と答えたら、代理人を紹介してくれて。今ドイツにいられるのは篤人さんのおかげでもある」

 内田は早い段階から大迫の才能を見抜いていた。

「アイツ(大迫)が高校生で鹿島の練習に参加した時、こう思いました。『高校レベルじゃ止められない。対峙する高校生は可哀想じゃん』って。それほどインパクトがありました」

 そして鹿島での大迫の活躍を受け、内田は大迫に「とりあえず話だけでも訊いてみたら」とすすめるのだ。

「僕も最初は代理人をつけなくていいと考えていた。海外に行く必要なんてないと。でも、そこからスタンスが変わって代理人といろいろ話していくうちに、大迫のことが気になった。アイツもそろそろ海外に行く選手だなって。『代理人をつける、つけないは大迫の判断。とりあえず話だけでも訊いてみたら』と言ったのは覚えていますね」

 大迫のキャリアを切り開いた内田の言葉。このエピソードはまた、選手にとって代理人の存在が重要であることを示すものとも言えそうだ。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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