【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「行動で集団を導くリーダー ここからが本田の出番だ」

2015年03月04日 マルコ・パソット

本田は誇りを持って最後まで戦い抜くタイプ。

後半からピッチに立った25節のキエーボ戦、本田は可能性を感じさせた。 (C) Getty Images

 いよいよ根性で頑張らなければならない局面にまで来てしまった。強い意志とプロフェッショナリズム。これが今シーズンのミランに残された最後の武器だ。もうそれしかないだろう。
 
 はっきりしているのは、もはやフィリッポ・インザーギ監督の手には負えないということだ。選手一人ひとりが奮起し、復活のきっかけを作るしかない。ただし時間はもうあまりない。
 
 スコアレスドローに終わったキエーボ戦(25節)の内容は惨憺たるものだった。逆境に立ち向かう反発力のなさを、ミランはまたしても露呈したのだ。
 
 チームが困難な状況に陥った際、選手は大きく2つのタイプに分かれる。
 
 ひとつは、やる気を失い、まあどうにかシーズン終了まで無難にやり過ごそうとするタイプ。彼らはインザーギにも見切りをつけている。
 
 もう一方は、それでもチームを愛し、チームメイトと、サポーターと、そして自分自身のためにも、誇りとスポーツマンシップを持って最後まで諦めずに頑張るタイプだ。本田圭佑は間違いなくこちらにカテゴライズされる。
 
 本田は多くを語らない。それでも口を開けば、高いプロ精神と強い気持ちが感じられる。だからこそ、今のミランの歩みを変えうる貴重な存在なのだ。シーズン終了まであと13試合。チームを完全に復活させるのは難しいだろうが、ある程度の修正を図ることができれば、ヨーロッパ行きの最終電車にはまだどうにか間に合うはずだ。
 
 キエーボ戦でもインザーギは本田をベンチに座らせたまま試合を始めた。2-0で勝った前節チェゼーナ戦の戦い方を持続したかったからだろう。しかし結果は散々だった。見るべきプレーはなく、敵のゴールを脅かすシュートもなし。チームとしての方向性が見えなければ、誰も走らない、動かない。とにかく、なにもなかった。
 
 そのなかで、微かに希望の火を灯したのは、後半から入った本田だった。ダッシュやダイレクトパスを駆使してプレーのスピードを上げようと試み、得意の左足で強烈なミドルシュートを放った。キエーボの守備をかいくぐって攻めようとし、ファウルを誘おうともした。すべてが前半のミランには見られなかったものだ。
 
 渾身のミドルは残念ながらクロスバーに嫌われ、勝負を決する違いを作り出すことはできなかったが、本田はチームに欠けていた「やる気」をピッチにもたらした。

次ページボナベントゥーラが中盤に下がり、トップ下に――。

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