J1昇格圏を窺う3位徳島、「連戦対策」へリカルド・ロドリゲス監督が掲げる独自の“攻略術”とは――

2020年08月30日 柏原敏

徳島は1チーム編成+競争力という方法を選択

昨季はJ1参入プレーオフ決定戦まで駒を進めた徳島。その悔しさを糧に今季のJ1昇格を目指す。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ15節]松本1-3徳島/8月29日(土)/サンプロアルウィン

 今季は『連戦を制する者がJ2リーグを制する』と言っても過言ではないだろう。

 全42節のうちシーズンの3分の1以上となる15節まで終え、勝点30で3位につける徳島ヴォルティス。攻撃面ではリーグ2番目の27得点。また、攻撃がピックアップされがちだが、守備面でもリーグで3位タイとなる13失点(※得失点ともに8/29終了時点)。攻守においてバランスの取れた戦いを展開している。

 現在、平日開催と週末の試合とで中2、3日での戦いが続く"5連戦"の真っ只中だが、この先の新型コロナウイルスの影響や台風をはじめとした自然災害で予期せぬ試合延期の可能性もあり、もっと大きな連戦を乗り越えなければならない場合もあり得る。

 今季の大きなテーマとなる、いわゆる"連戦"への対応は各チームにより千差万別で興味深い。2チーム編成でターンオーバーしながら乗り切ろうとしているチームもある中で、徳島は「1チーム編成+競争力」という方法を選択している。そして、リーグ再開から2度行なわれた3連戦(4節から6節と7節から9節)では、ともに2勝1敗。直近の5連戦(10節から14節)が3勝2分と勝ち越してここまで来た。
 
 その「1チーム編成+競争力」という方法に目を向けていくと、序盤は主に運動量の多い右ウイングバックで岸本武流と藤田征也を交互に起用してコンディション調整を行いながら、その他は概ね固定メンバーで臨んでいた。ただ、2度目の3連戦辺りからリカルド・ロドリゲス監督の采配が大きく変化し始めたように見える。

 例えば、第8節・北九州戦(0-2)では守備陣の疲労を考慮して、チームの要である岩尾憲をボランチからCBにコンバートする方法を選択。この采配は失敗に終わったものの、徳島流の"連戦攻略術"を模索し始めた様子が顕著に感じられた。

 次の第9節・山形戦(1-0)では中3日で「(練習は)本当にほぼやってないに等しいくらいの量」(R・ロドリゲス監督)と言及しながらも、課題の5バックを崩すために基本布陣の3バックから「4-3-3」にドラスティックな変化を与えて点差以上の快勝となった。

 これで4バックもオプションとして選択肢に加わり、第12節・甲府戦(1-1)ではSBタイプで推進力と跳躍力が秀でているジエゴを抜擢。一般的なSBではなく、インナーラップとオーバーラップを織り交ぜ、偽のSBのような立ち位置も役割として与えながらオプションの幅を拡げた。
 

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