【セルジオ越後】内田篤人は最後に物凄いメッセージを残してくれた。本当によく頑張ったと讃えたい!

2020年08月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

いろんなものを抱えながら、乗り越えながら32歳まで続けたことは凄いことだ

引退セレモニーでファンに向けて挨拶する内田。プロ選手としての矜持を示した。写真:滝川敏之

 鹿島アントラーズの内田篤人が23日のガンバ大阪戦を最後に、現役を引退したね。20日に引退を発表してから、わずか3日後にラストマッチ。まさに電撃引退という形だったけど、鹿島やシャルケ、そして日本代表で華やかな活躍をしてくれた選手だったね。

 世間では32歳の引退は早すぎるとか、ラストマッチでのパフォーマンスを見ればまだまだできるとか、惜しまれる引退という見方がされているよね。でも僕は、彼がこれまで歩んできた山あり谷ありのサッカー人生を考えたら、よくぞここまでやってきた、頑張ったねと讃える以外に言葉は見つからない。膝の怪我や長いリハビリ生活、その後のパフォーマンスの低下など歯がゆさはあったと思う。そうしたいろんなものを抱えながら、乗り越えながら32歳までやってきたというのは凄いことだ。

 僕は国内で大して実績を残していない日本人選手の海外移籍には懐疑的な見方をしているんだけど、内田は鹿島で高卒1年目からレギュラーを掴み、2年目からは3連覇に貢献。国内でしっかりと実績を残して、ドイツでも屈指の強豪であるシャルケに移籍し、そこでも早々に主力の座を掴んだよね。

 そして、チャンピオンズ・リーグでも長友のいるインテルに勝って4強まで勝ち進んだり、サポーターからも「ウッシー」の愛称で親しまれる存在にまでなった。そうしてハイレベルな環境で継続して試合に出場できたという意味でも、まさしく海外移籍のお手本だよ。だから、これから海外を目指す若い選手にも、ぜひ内田のような歩みを期待したい。エージェントが売り込むとかではなくて、国内でしっかりと実績を積み上げて、向こうからしっかりとしたオファーをもらって海を渡るという移籍を目指してほしいんだ。

 内田はワールドカップでは、岡田監督の採った戦術によって南アで出番をもらえなかったり、ブラジルでは怪我をおしてのプレーを強いられたりと、決して良い時ばかりでもなかった。そしてドイツで負った膝の大怪我が引退を早めることになったけど、そうした厳しい試練に晒されながらも32歳まで現役を続けてきたことには、大きな価値があるんじゃないかな。
 

次ページ現役の選手たちにプロ選手のあるべき姿を示してくれた内田

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事