Jユース昇格を断り京都橘へ。Jクラブのスカウトに見せつけた2年生エースの実力と名門守護神の壁

2020年08月23日 安藤隆人

京都橘の2年生ストライカー木原励が見せたスケールアップ

京都橘の2年生ストライカー木原。ポストプレーなど周囲を活かすプレーが際立った。写真:安藤隆人

 京都橘の2年生ストライカー木原励は、強豪が揃うRyukeiCup2020でその力をスタンドで見つめたJクラブのスカウトたちに見せつけた。セレッソ大阪U-15からU-18への昇格を断って京都橘に進んだ注目株は180cmの高さとスピード、足もとの技術を誇り、最前線でバリエーションあるプレーで何度もゴールに迫った。

「1年生の時よりもフィジカルが強くなったというか、身体の使い方が変わりました。身長も体重も変わっていないのですが、相手にどう当てたら相手を抑えられるかが感覚的に掴めてきた手応えがあります」

 流経大柏戦と尚志戦を観たが、3-4-2-1の1トップに入った木原はボールを受ける前に周りの状況を把握。一発で裏に抜け出すか、一度落ちてボールを受けて叩くか、先に体をぶつけてスペースを生み出してからボールを呼び込むか、冷静にプレー判断をしていたのが印象的だった。

 流経大柏戦ではDFを背負いながら背後から来た浮き球のスルーパスを受ける。ライナー性でかつ足もとでワンバウンドする難しいボールだったが、相手をブロックしながら左足インサイドを使ってワンタッチで前に出すとそのまま加速。GKと1対1になるビッグチャンスを作り出した。

 尚志戦でも立ち上がりに無回転FKで相手ゴールを脅かすと、ディフェンスラインの裏に届いたロングパスを抜群の抜け出しで反応し、バウンドしたボールを滑り込みながら右足で強烈にインパクト。強烈なシュートがゴールを襲ったが、これは尚志GK妹尾弦のファインセーブでゴールには至らなかった。

「(新型コロナウィルス感染症拡大による)中断期間で自分のプレーを見直したんです。そうしたら背後の抜け出しはできていたのですが、時間を作るプレーができていなかった。チームがしんどい時間帯にそれができるのと、できないのとでは大きな差だと感じたんです。例えばヘッドの競り合いで、背後にボールをすらしても周りがうまく抜け出せていたらチャンスになりますが、その準備ができていない状況でもすらして、相手ボールにしてしまったこともあった。それだったら周りの状況を見て、胸で収めて時間を作ったり、周りに叩いて動き直したりした方がチーム的にも前線に起点が生まれてプラスになります。足もとのボールに対しても、受けてから身体を使うと相手のレベルが上がった時に通用しないので、先に身体をぶつけてスペースを作り出す動きを入れれば、よりシュートを打てるチャンスが生まれる。こうしたプレーを習得すれば、もっと成長できると思ったんです」

 自粛期間でサッカーができなくても、自分に何が足りていないか、何ができていないかを真剣に見つめ直した。その真摯な姿勢が彼のスケールアップへと繋がった。同時にスケールアップをしたからこそ、新たに見えた大きな課題があった。
 

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