異色のルーキー山下諒也がヴェルディに適応できた理由と、偶然だった入団経緯

2020年08月20日 海江田哲朗

「何かを変えたというより…」

ルーキーながら13試合で2得点(13節終了時点)。攻撃のアクセントになっている。写真:山崎賢人(サッカダイジェスト写真部)

[J2リーグ13節]東京V3-0松本/8月19日(水)/味スタ

 今季、日体大から加入したルーキーの山下諒也が勢いに乗っている。

 164センチと小柄ながら、抜群のスピードで局面を打開できるドリブラーは、12節の水戸戦でプロ初ゴールをマーク。続く13節の松本戦でも貴重な先制点を挙げ、東京Vの3連勝、5位浮上に貢献した。主に途中出場ではあるが全試合で起用され、13試合2得点の成果は立派なものだ。

 山下はジュビロ磐田のアカデミーで育ち、大学サッカーを経て、緑のシャツに袖を通した。東京Vはアカデミー出身者を主体とする、独自色の濃いクラブである。異なる文化で育った外部の選手が適応するのは簡単ではなく、特に経験の浅い若手は苦労することが多い。
 
 永井秀樹監督は言う。

「昨年、練習参加の段階から、山下はこのサッカーを理解しようという意識を強く持っていました。また、周りのサポートがあったのも適応できた理由。立ち位置や走るタイミングなど、コーチングスタッフからの指導を受ける他、選手同士で話し合う雰囲気がある。そこはこのチームの長所ですね。アカデミー育ちの選手と外から入ってきた選手の融合がうまくいき始めていると感じます」

 周囲の惜しみない協力は、未知なるものを吸収しようとする積極的な姿勢が呼び込んだものに違いない。自身の変化について、山下はこう語る。

「何かを変えたというより、永井さんやコーチ陣からのアドバイスを受け、自分なりに理解してプレーし、考えながらやってきました。高2の時、ジュビロで大木武さんのサッカーを経験し、それと感覚的に似ている部分があるなというのは感じます」

 そもそも、東京Vと山下の縁は偶然のめぐり合わせによるものだ。

 山下が日体大の10番を背負い、関東大学リーグ2部を戦っていた昨年11月。とある事情で週末のゲームに出場できなくなり、日体大の矢野晴之介監督の計らいによって東京Vへの練習参加が決まった。
 

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