「強すぎた」“2つ目の星”に王手でフランス中が熱狂!パリSGはついに “愛されるクラブ”になれるのか?【現地発】

2020年08月20日 結城麻里

フランスでビッグイヤーを掲げたのは1チームのみ

準決勝のライプツィヒ戦で躍動したディ・マリアとネイマール。 (C)Getty Images

 パリ・サンジェルマンがクラブ史上初のチャンピオンズ・リーグ(CL)のファイナル進出を決めた翌朝、フランス中のテレビ、ラジオ、新聞は、CL制覇という巨大な夢の実現に向け、パリ解放の鐘を打ち鳴らしている。

 テレビは18日の試合終了時点から、パリの夜空に煌めいた美しい花火の競演、パルク・デ・プランスとシャンゼリゼが興奮の坩堝と化した様子を流し続けており、当局は大集合をしないよう必死に呼びかけ中だ。また地元紙『Le Parisien』は一面に「ついにファイナル!」の大見出しを打った。

 フランス最大の全国紙『L’EQUIPE』はと言えば、特別仕立ての2部構成。1面から10面までを全てパリとCL制覇の夢にあてたうえで、真ん中に別刷形式のリヨン対バイエルン戦特集10ページを挟み込み、計20ページの総力報道になっている。

 その一面に躍動した大見出しは、「パワーは彼らに」。そこには勝利の立役者となったネイマールとアンヘル・ディ・マリアが大きく両手を広げて歓喜し合う写真が刷り込まれている。

 ダミアン・ドゥゴール記者のメイン記事には、「パリは強すぎた」の見出し。またディ・マリアのページには、「ディ・マリア 死の天使」の粋なタイトルがついた。天使を意味するアンヘル(英語のエンジェル、フランス語のアンジュ)が、相手に死をもたらす恐るべき天使だったことを巧みに表現している。

 さらに「全員が『ファンタスティック』」(4人のファンタスティックではなく全員だった)、「私はクロップのリバプールを見た」(元パリ監督のルイス・フェルナンデス評)、「パリ解放」(花火と熱狂)、「さあ今度は、OMに倣え」などの表現も次々と登場。OMは酒井宏樹が所属するマルセイユの通称で、1993年にフランスのクラブで唯一ビッグイヤーを掲げ、ユニホームに星をつけているクラブだ。

 恒例のヴァンサン・デュリュック記者の社説は、「並んだ星」。1956年にレアル・マドリーがレイモン・コパ擁するランスをファイナルで下した後、CL創始者である『L’EQUIPE』のディレクターがレアルにトロフィーを手渡し、こう語ったというエピソードを紹介している。

「大切にしてくださいね。これは愛されて生まれた子なのです」――。
 

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