久保建英の起用法はどうなる? スペイン人戦術アナリストに直撃!「エメリが左利き3人を同時に使うかは疑問だ」【現地発】

2020年08月15日 アレハンドロ・アロージョ

「プロジェクトの目玉として迎え入れられている」

ELにも出場するビジャレアルへ移籍した久保。レギュラーの座を勝ち取れるか。(C) Getty Images

 久保建英にとって、マジョルカは"試練の場所"でもあった。

 ビセンテ・モレーノ監督が採用する戦術面でも、チーム全体のクオリティーという面でも、久保のような攻撃センスに長けた選手にとって必ずしもプラスとは言えない環境の中で1年間プレーしたことは成長を加速させた。だが同時に、ポテンシャルをフルに発揮できていないというもどかしさが常にあった。

 1年のレンタル移籍が決定したビジャレアルは、その意味では能力の高い選手が揃い、チームを率いるのも国際経験も豊かなウナイ・エメリだ。もちろんその分、チーム内の競争は激しさを増すが、この環境の変化が久保にどんな化学反応をもたらすか興味は尽きない。

 全ての若手選手がそうであるように、今の久保は継続して出場機会を得ることが何よりも先決だ。ただ彼を特別な存在にしているのは、昨夏にレアル・マドリーに入団してからの親善マッチ、そしてマジョルカでの1年間でのプレーを通じて、すでにプリメーラ(1部)でもトップクラスの選手であることを実証していることだ。

 実際、若手のレンタル移籍といえば、武者修行という側面が強いが、久保の場合は新シーズンのプロジェクトの目玉として迎え入れられている。しかもビジャレアルはエメリを招聘してさらなる飛躍を期している。伸び盛りの19歳にとってこの上ない新天地といえるはずだ。

【動画】久保の入団会見&圧巻のリフティングパフォーマンス
 最大の関心事は、久保がビジャレアルにフィットできるかだろう。両者の相性は理想的といってもいいが、ポイントとなるのはやはりどのポジションで起用されるかだ。

 もっとも有力なのは、マジョルカでも主戦場としてプレーした右サイドだ。久保はあらゆる意味において鋭さが魅力の選手だ。スピードに乗ってスペースに走り込むというよりもむしろ、狭い局面であっても一瞬の動き出しと急激なギアチェンジを駆使したドリブルで打開してしまう。

 逆足のウイングのメリットを活かし、周囲の選手と連携しながら頻繁に中に入り込み、左サイドに顔を出すことも少なくない。その意味では、自由を与えられたほうが持ち味を発揮する選手といえる。

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