【CLポイント解説】ユベントス 2-1 ドルトムント|巧さを見せたユーベとのリマッチで鍵を握るのは香川

2015年02月25日 遠藤孝輔

縦に速く攻め込むサッカーという戦前の構想がハマったユーベ。

1)見事だったドルトムント対策
 
 ドルトムントのCFインモービレの鋭いミドルシュートで幕を開けた一戦を制したのは、このイタリア人選手にとっての古巣であるユベントスだった。
 
 CBキエッリーニが足を滑らす致命的なミスを犯した18分、ロイスにアウェーゴールを許してしまったのは余計だったが、ユベントスは今シーズン無敗というホームスタジアム(過去15試合の欧州カップのホームゲームで敗戦はわずか1、直近10試合では無敗だった)で2-1の勝利を収め、8強進出へのアドバンテージを得た。
 
 この試合で見事にハマったのは、アッレグリ監督のドルトムント対策だ。中盤の主導権争いで後手に回っても、肝心のバイタルエリア付近では絶対に自由を与えることなく、ボール奪取後は縦に速いカウンターを徹底していた。
 
 引いた相手を崩す有効な手立てを持たないうえ、俊敏なアタッカーへの守備対応が拙いというドルトムントの攻守における弱点を突いた格好で、その戦術の機能性は90分間を通して高かった。
 
2)テベスが速攻を機能させた
 
 ユーベの白眉は、相手に決定機をほとんど作らせないタイトな守りを実践した守備陣以上に、前線で躍動的なプレーを繰り返したテベスだった。
 
 相手GKが弾いたこぼれ球に鋭く反応した13分の先制場面に象徴される質の高い動き出しに加え、シャープなドリブル突破を披露し、チームの速攻を高度に機能させる核として君臨していた。
 
 そのエースと2トップを組んだモラタも、及第点以上のパフォーマンスを見せたひとり。テベスのドリブルを促すスペースメイク、後方からのパスを引き出すフリーランの両方が冴えていただけでなく、43分には値千金の決勝ゴールを奪い、ユベンティーノのハートをがっちりと掴んだ。
 
 実績で上を行くジョレンテではなく、純粋なスピードやアジリティーで上回るこのストライカーが先発に名を連ねたのは、戦前からアッレグリ監督が守りを固め、縦に速く攻め込むサッカーを構想していたからだろう。
 
 
 
 

次ページ崩しの切り札として、またピルロ封じでも期待できる香川。

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