コロナ騒動に揺れた名古屋のいま――。柏戦に向けた“クラブの努力”と“萎えない闘志”

2020年07月31日 今井雄一朗

全体練習再開は30日から、それでもファイティングポーズを崩さない

新型コロナウイルス感染者が相次いだ名古屋。8節の柏戦に向け迅速に対処を重ねていった。写真:田中研治

 結果的にJ1第7節のサンフレッチェ広島戦の中止、延期という事態にまで発展した今回の"コロナ禍"だが、そこに真っ向から対峙し、ファイティングポーズを崩さない強さを名古屋グランパスは見せようとしている。

 次節の対戦相手、柏レイソルにまつわる様々な論調もありはするが、これは明日は我が身で、どのクラブ、選手、スタッフにも起こりうる事態である。ならば今回の当事者である名古屋がすべきことは何かと言えば、反省すべき部分は反省し、改善すべき部分を改善し、しかるべき対処の後にリーグ戦の運営を継続していく努力である。そして名古屋はそれを粛々と実施してきた。

 7月26日、第7節の試合当日になって急遽中止の判断がなされた経緯については既報の通りで、そこから名古屋はクラブを挙げて追加検査と濃厚接触者の特定、クラブ内での感染対策のさらなる徹底と、迅速に対処を重ねていった。

 チーム独自で体制を確立しているPCR検査は27日、29日と立て続けに行ない、その両方でDF宮原和也、MF渡邉柊斗以外の選手については陰性であることが確定。選手寮の調理スタッフが27日の検査で陽性判定を受けたものの、濃厚接触者はいなかったことでチームは制限されつつも活動を止めることなく準備を継続できたのは大きかった。

 実質、「思いきって練習と準備ができたのは今日(30日)からでした」(DF中谷進之介)という状況にはなったが、事の経緯を考えれば評価すべき推移だったと思う。
 
 そもそも名古屋は、6月に感染者を出したことでチーム内に厳格なガイドラインを設定し、実行してきたクラブだ。選手の生活面における行動管理はもとより、クラブハウスの使用に関してもかなり細かく感染症対策を練り、選手への徹底を図ってきた。

 各入り口への消毒液の設置と消毒の励行、シャワールームの使用制限、ロッカールームも分けて距離感を保ち、今後はさらに細分化したガイドラインの追加を検討しているとも聞く。生活面での制限、規制については選手の家族にも共有を徹底しているといい、Jリーグの村井満チェアマンが、「濃厚接触を避けるような生活およびトレーニング、試合運営を施していたという認識がある。クラブとして大きな瑕疵があったわけではないと認識している」と言うのも理解できる体制は整っていた。

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