なぜチェルシーは「カネ」があるのか? 大物ダブル獲得後も補強費はまだ潤沢だ

2020年07月28日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

実質的に3回分の予算が。

今シーズンはランパード監督(右)がマウント(左)らレンタルバックの若手を上手く活用し、CL出場権を獲得したチェルシー。来シーズンには向けては大型補強に動いている。(C)Getty Images

 コロナ禍で欧州中のクラブが強化予算削減を余儀なくされる中、チェルシーはほぼ唯一の例外だ。すでにハキム・ジイェフ(←アヤックス)とティモ・ヴェルナー(←RBライプツィヒ)の獲得を決めたが、さらなる大型補強を予定。最近もフランク・ランパード監督はこう語っている。
 
「上位陣との差を埋めたい。まだ補強したいポジションは他にもある。チームの戦力をさらに充実させたい」
 
 強化費が潤沢な理由は複数ある。まずは補強禁止処分を食らっていた昨夏に続き、そのペナルティーが解けた今冬も新戦力の獲得を見送ったから。今回の市場では実質3回分の予算を使える計算だ。
 
 また、プレーヤートレーディングでの売上も、補強費の大きな"原資"だ。昨夏のエデン・アザール(1億ユーロ/R・マドリー)に続いて、今シーズン終了後にはレンタル中だったアルバロ・モラタ(5600万ユーロ/A・マドリー)とマリオ・パシャリッチ(1500万ユーロ/アタランタ)の売却益が転がり込んでくる。
 
 さらに現在は、既存戦力だとマルコス・アロンソ(推定市場価格は2000万ユーロ)、エメルソン(同2400万ユーロ)、クルト・ズマ(同2800万ユーロ)、レンタル組だとティエムエ・バカヨコ(同2550万ユーロ)らを換金対象に挙げる。もちろん売却益がすべて補強費に回せるわけではないものの、一定の上積みにはなりうる。
 
 これらを総合して考えると、新シーズンに向けた補強費は2億5000万~3億ユーロ程度と考えていいだろう。すでにヴェルナーとジイェフに計9300万ユーロを投じているので、残りは1億5700万~2億700万ユーロほどと予想できる。現在のトップターゲットはレバークーゼンの超逸材カイ・ハベルツで、巨額投資も辞さない構えだ。
 
 今回のマーケットでこれだけの「キャッシュ」が用意できそうなクラブは、ヨーロッパ中を見渡してもおそらくチェルシーだけ。さらなる大物獲得で、移籍市場の主役に躍り出る可能性は十二分だ。
 
文●ドミニク・ファイフィールド(ジ・アスレティック)
翻訳●田嶋コウスケ
※『ワールドサッカーダイジェスト7月16日号』より転載
 
【著者プロフィール】
高級紙『ガーディアン』とその日曜版『オブザーバー』の記者としてロンドン首都圏を担当し、主にチェルシーを追いかける。20年以上に及んだ両紙でのキャリアに終止符を打ち、現在は新興スポーツサイトの『ジ・アスレティック』で活躍中。
 
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