不調のシャビ・アロンソ リズムを崩した要因はシュバインシュタイガーか?【バイエルン番記者】

2015年02月23日 パトリック・シュトラッサー

“パスの分配者”としての圧倒的な存在感が…。

前半戦の活躍が嘘のように、パフォーマンスを落としているシャビ・アロンソ。シュバインシュタイガーとの共存が原因か。 (C) Getty Images

 いまミュンヘンでは、ある選手を巡るディスカッションが進行中だ。その選手とは、シーズン前半戦は際立つ活躍を見せたシャビ・アロンソである。
 
 アロンソはウインターブレーク以降、パフォーマンスを落としている。"パスの分配者"としての圧倒的な存在感が、ここにきて薄らいでいるのだ。0-0で引き分けたアウェーのシャフタール戦(チャンピオンズ・リーグ)では、イエローカードを2枚受けて退場し、チームをさらに困難な状況に追いやった。3月11日のホームでの第2レグは、当然ながらサスペンションで出られない。
 
 アロンソは疲弊しきっているように見える。疲労の蓄積が不調の原因なのだろうか。そんなはずはない。1か月弱のウインターブレークは明けたばかりで、英気は十分に養えているはずだ。事実、「(長いウインターブレークは)僕にとっては新しい経験。足と頭をリフレッシュすることができた」と本人も語っている。
 
 スペインでもイングランドでも経験したことのないシーズン中の長い休みで、リズムが狂ってしまったようだ。あるいは、リズムが狂ったのは中盤のパートナーのせいなのだろうか。
 
 バスティアン・シュバインシュタイガーとのコンビは機能しているとは言い難い。実際、チームが上手く動いているのは、どちらか一方がいない時だ。
 
 例えば、8-0で大勝したハンブルク戦(ブンデスリーガ21節)はアロンソが不在で、シュバインシュタイガーは中盤で思う存分、自分のプレーを披露していた印象だ。続くパーダーボルン戦は、シュバインシュタイガーが欠場して6-0の快勝だった。ここまで2人が揃って先発したのは5試合で、結果は2勝2分け1敗。その1敗は、今シーズンの初黒星となったヴォルフスブルク戦(18節)の1-4の大敗だ。
 
 スコアレスドローに終わった前述のシャフタール戦は、チャンピオンズ・リーグで2人が先発で揃い踏みした初めての試合だった。役割分担は、アロンソがより守備的な"6番"で、シュバインシュタイガーはより攻撃的なタスクを担ったが、結果が示すように効果的ではなかった。名誉会長のフランツ・ベッケンバウアーも、「ポジションの問題だろう」と問題を指摘する。
 
「ボールを持ってコントロールする選手が必要だ」
 ペップ・グアルディオラ監督はそう語り、2人の起用の正当性を主張する。
「絶対に2人は一緒にプレーできる。どちらもインテリジェントな選手だ」
 
 アロンソを獲得したのは、相手やボールを追いかけさせるためではないと、ペップは言う。
「そのために獲得したのなら、とんだ間違いを犯したことになる」
 
 グアルディオラの真意はこうだ。アロンソは自分のプレーをすべきである。すなわち、ビルドアップの起点となり、パスを振り分ける。それが彼のできることであり、そのためにチームに迎えたのだ――。
 
 ただ、アロンソが自分のプレーを取り戻すのはいつか。怪我で離脱中のフィリップ・ラームとチアゴ・アルカンタラが、間もなく戦列に復帰する。アロンソにとって安閑としていられない状況が続く。
 
【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。
【翻訳】
円賀貴子
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